居酒屋の定番メニューのひとつに鶏の皮ポン酢があります。
鶏皮を茹でるかこんがり炒めてから、ポン酢を回しかけて食べる通称「皮ポン」です。
メニューの隅に「皮ポン」の文字を見かけると、つい何気なく注文してしまうのですが、あまり旨いと思ったためしはなく、 次々と運び込まれてくる品々の陰に隠れてついにはその存在を忘れ去られてしまう・・・。
こんな憂き目に会う皮ポンをこれまで何度見かけたことか。 今回は、ひときわ異彩を放つ皮ポンです。
「大人の」と銘打っておりますのは、一体普通の皮ポンとどこらへんが違うのか?
この件に関しお問い合わせメールを多数頂戴しておりますので(ウソです)、ズバリお答えしたいと思います。
「ちょっぴり肉がこびりついている鶏皮を使うところが大人!」
なんです。 普通、鶏皮といえば、文字通り鶏の皮を指します。 先ほども申しましたが、その皮にポン酢をかけてつまむのが皮ポンです。
ところが今回の鶏皮には、肉がちょっぴ残ってるんです、ここんところが少し贅沢な気がして大人だと思うのです。
この鶏皮は、肉屋さんで「大人の鶏皮ください」と叫んでも手に入りません。 なので、鶏肉から自分で切り取る必要があります。
鶏のムネやモモ肉を用意しまして、皮を引き剥がすのですが、その際包丁で削ぎ切りにして、絶妙に肉の残る鶏皮を切り出すのです。
残った肉の部分は親子丼にしたり、 鶏団子にしたりとご自由にどうぞ。
さて一体どれぐらい肉が残っている皮が絶妙なのか? そうですね、好みにもよりますが、このぐらいですかね。
ひとつ注意するならば、「決して肉のほうが皮よりも多くなってはならない」というところです。 だって皮ポンですからね。
さて、丹念に切り出した肉付き鶏皮を注意深く炒めてまいります。
鍋を強火で熱し、煙が立ったところでごま油をたらします。 まんべんなく行き渡らせてから油は捨てて、そこへ鶏皮を投入し、弱火で炒めます。
皮にこんがり焼き色をつけてカリリとさせるところがコツでありまして、 目をはなさず、時折飛んでくる油ニモマケズ、愛する人のため、はたまた自分自身のためにしっかり芯まで炒めます。
炒め終えたら、余分な油は鍋に残しつつ、皮だけをポン酢に浸します。
そうなんです、大人の皮ポンは、ポン酢を回しかけるのではなく、ポン酢に浸して味を染みこませるのです!
これにより、どこをつまんでも均一な味のする皮ポンになるわけです。 大人だといえば大人かもしれないところですここは。
皮をポン酢に浸しておく時間ですが、一時間ぐらいが妥当なところです。
浸している間は、途中一度天地を返すと、まんべんなく味が回ります。 さて一時間が経過しました。 ひとつ鶏皮をとりあげてつまんでみてください。
どうですか? 旨いですけど味がちょっとつきすぎではありませんか? フフフ、思い通りの展開です。 わざと、濃い目の味になるように一時間浸したんです。
ミョウガをドッサリ、ドッサリと用意しまして、せん切りにしてから水に放ちます。 パリリとしたところでザルにあけ、よく水気をきります。
鶏皮の汁気を切ってから器に盛り、上からドッサとミョウガを盛ります。
そしてミョウガと一緒に鶏皮をつまめば・・・非の打ち所の無い味加減です。
絶妙に肉を残した鶏皮を切り取り、炒めてからポン酢に一時間浸す。 汁気を切って器に盛り、ミョウガを天高く盛る。
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11/10/04