邱 永漢氏の傑作『食は広州に在り』内で紹介されていた料理です。
同じ料理が、壇一雄氏の『壇流クッキング(内バーソー)』でも紹介されておりまして、 「ひとつ台湾の、いちばん簡単で面倒のいらない料理をおしえてくださいよ」という壇さんリクエストに、 「いいでしょう。 やってみましょう。」と邱氏が作ったのがこの豆油肉(タウユウバア)なのです。
本では、皮付の豚の後腿(モモ)肉が最良とされておりますが、 皮付きの豚肉なんてなかなか手にはいらないので豚バラを用いる、と邱さんはおっしゃいます。
※ラフテーのように、皮付きの豚バラで作るとより美味しいと思います。
あとはカンタン。 鍋に豚バラを丸のままほうりこんで、醤油、水を半々程度の割合で注ぎ、酒を適量加えます。 そして葱(ネギ)を長いまま2,3束投入します。
あとは気の向くまま何時間でも煮込んでいくのです。 我が家ではストーブ上に放置しておきます。 お好みでゆで卵やシイタケ、 コンニャクや豆腐を加えてください。
2,3時間も煮込むと水気が減ってきます。 この料理は、煮込むだけで完成なのですが、砂糖を使いません。 邱さんは「日本料理は何にでも砂糖を入れて甘くするので素材の味が生きない」と書いておられます。
でも味見してみると、塩からかったので、ザラメを追加投入しました。
〜 何時間でもコトコト煮込む 〜
豚バラ肉がドロッとトロければ豆油肉の完成です。 見た目はなんだか失敗した角煮みたいですが、 ネギがとろけて旨いものです。
何日も煮なおしているうちに、だんだんと味も良くなるという進化する料理です。
醤油の分量が水と半々というふうに多いので、黒々してしまいましたが、水の分量を調整すれば何とかなると思います。 ちなみに「壇流クッキング」で紹介されている豆油肉の作り方では水をごく少量しか入れません。
豆油肉は、ネギを足し足し火にかけ続けていたら、1ヶ月だって腐らないそうです。 でも毎日食べ続けると飽きてきますよね。
そんなときに作るのがこの鹹菜湯(ハムツオイトン)です。
気に入れば、これが食べたいが為に、豆油肉を作りたくなるでしょうと邱さんはおっしゃいます。
豆油肉を食べて残った煮汁で、高菜の漬物を炒めます。 ただそれだけです。 高菜の漬物は、ただ油で炒めるだけでもおいしいものですが、 煮汁で一味プラスするというワケです。 ちなみに高菜ではなく干筍(タケノコ)を戻して用いても美味いそうです。
高菜を食べやすい大きさに切りわけて、油で炒めます。 仕上げに豆油肉の煮汁と絡めて完成です。
豚肉の旨みが高菜に染み込んでいて、ご飯のお供に最適です。
更新日:23/01/14
公開日:05/11/20