あれは7年前のことでした。
東京に行った折、酒を飲んだ後のシメとして「この辺に美味しいラーメン屋はありませんか?」と聞いたのです。 するとその人は「二郎かな」と即答しました。
二郎を初めて目にしたときの衝撃といったらありません。 丼を前に、同行した友人と一緒に顔を見合わせ思わず笑い出してしまいました、というよりも笑うしかなかったのです。
黙々と食べ進みますが、いつまでたっても麺が見えません。 真夏だったので体中から汗が噴き出します。 そもそもシメでススルものではありません。
必死で食べ切りましたが、一歩も動けなくなりました。
その後友人は「二度と二郎はごめんだ・・・」とボヤきましたが、オイは空腹の時にもう一度挑戦しようと思ったのです。 二郎には向き不向きがあります。
以来ちょくちょく行列に並んでは大盛チャーシューダブルを喰っていましたが、 先日久しぶりに挑んだところ、何とか食べきりましたが「もうこれが最後だな・・・」と思いました。 年齢的に、もう限界なのです。
そこで二郎卒業の記念として、感謝の念を抱きつつ、個人的解釈による二郎の作り方を掲載します(動画もどうぞ)。
麺は是非自作したいところです。 今回あのゴワッとした感じを出すために超低加水率(30%)で麺を打ちました。
各割合は、強力粉1キログラムに水300グラム、塩10グラム、重曹10グラムです。
詳しい麺の打ち方は、パスタマシンで自家製麺をご覧ください。 麺の太さはパスタマシン(アトラス:ATL-150)に付属の刃で5ミリに決めました。 あらかじめダイヤル4まで生地を延ばして切り分けます。
※低加水率のため、麺をこねる作業は結構キツイです。
ゲンコツ(3キログラム)と背脂(1.5キログラム)を大鍋で10時間煮込みました。
あえて野菜等は一切加えず煮出しています。 ゲンコツの下処理等は、ラーメンの作り方をご参考にどうぞ。
ちなみに今回8人前の二郎を作るつもりです。
10時間煮込むとスープは白濁し、背脂が溶けて心地よいトロミがつきます。
スープを煮出しつつ、別鍋で背脂1キログラムをたっぷりの湯でグツグツ煮ておきます。 これが二郎の名物カスタマイズであるアブラになるのです。
5時間も煮込めば背脂はグズグズになり、まさに「アブラ」っぽく仕上がります。 水かさが減りすぎた場合はその都度水を足します。
二郎ではチャーシューを豚と表現します。 本式には「豚の腕肉」を使うらしいですが、今回は豚モモブロックで作ります。
ゲンコツを煮出す際に放り込んでおき、2時間ぐらい煮てから引き上げます。
煮たブタは、ビニール袋に入れて上から醤油を注ぎ、口をしめて冷蔵庫で寝かせておきます。 東海林風チャーシューみたいな感じです。
ちなみにこの際の醤油は後で「醤油ダレ」として使いますので大事にのけておきます。
それではいざ二郎にとりかかります。 大鍋に湯を沸かし、麺をバラバラと加えてざっくり混ぜつつ茹であげます。 茹で時間は5分です。 かなり骨のある麺ですので、茹で時間にさほどシビアになる必要はありません。 極細の長浜ラーメンと比べ、一度に沢山作りやすいものです。
ただ、茹ですぎだけにはくれぐれもご注意くださいね。
※今回打ってから二日置いた麺を用いていますが、二郎では打ってすぐの麺を使ったりもするそうです。
豚はカツオのタタキばりに、ゲタ並に厚く切り分けておきます。 ちなみにこの画像分で一人前のブタになります(350グラム)。
今回は「ニンニク入れますか?」なんて聞くつもりはなく、有無を言わせず大盛チャーシューダブルでいくつもりなんです。
二郎といえば野菜です。 もやしとザク切りのキャベツをサッと茹でておきます。 麺の茹で上がり時間に合わせて準備します。
温めておいた丼に豚の際の醤油を注ぎます。 今回有無を言わせず「カラメ」でいくつもりなので、多めにたらしておきます。 そのほうが旨いんです。
続いて化学調味料をさじ一杯程度加えます(好みにより増減)。 これにより辛味が薄らぐので、やはり醤油は多めがいいんです。
そしてすかさず茹で上がった麺を水切りして丼へ移し、上からスープを並々と注ぎます。 続いて野菜を盛り上げ豚を添え、仕上げにアブラを頂点から回しかければ二郎風ラーメンの完成です。
※今回食べた後に人と会う約束があったので、刻みニンニクは入れてません。
熱々の巨大な丼を前に畏敬の念を抱きつつ、無言でただ黙々と食べるのです。
※個人的な二郎攻略法としましては、まず野菜に手をつけるのではなく、底から麺をほじくり出して、麺からやっつけていったほうが完食できる気がします。 野菜からいくと、いつまでたっても麺が出てこないんです。
ラーメン二郎をリスペクトしつつ、未経験の人々に疑似体験してもらうために一生懸命二郎を作る。
12/03/16