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とんぺい焼きはこう作るべき

とんぺい焼きはこう作るべき

長いお休み、あなたはどう過ごされましたか?

旅行された方も沢山いらっしゃるでしょう。 「GW長崎行くんですよ!」というおたよりも結構いただきました。 そこで必ず聞かれるのが「ちゃんぽんはどこで食べたら良いですか?」という重要案件です、なにせ名物ですから長崎の。

いつも私がオススメするのは町はずれの中華料理屋なのですが(ちゃんぽんのリアルが表現されているから)、いかんせん観光ガイドを片手に訪れた人は大店の、一杯千八百円もするようなちゃんぽんをススッている事が多いと言います。

まあどこを旅しても同じようなものですよね。

真に地元民に愛されている店というものは中々オモテの情報には出てきません。


ところで広島といえばお好み焼きですよね。 広島へ観光に行って「お好み焼きを食べよう!」と思えば、今やグルメサービスが充実していますからすぐ人気の店はある程度探せますが、一昔前までは狭い情報に頼らざるをえませんでした。

広島に通い始めてかれこれ14、5年になりますかね。 当時は「お好み焼き」といえば全国的にも知られていたお好み焼き屋の集合したビル「お好み村」まで足をのばし、なんとなく店を選んでは「こんなもんかな」と満足と不満足の間を漂っておりました。

やがて地元の方々から美味しいお店の情報をコツコツ教えていただきながら今に至っておりますが、今回8年ぶりにお好み村に行きました。

なんでかというと、広島県民にこよなく愛されている地場企業の「若」とご一緒する機会がありまして、彼イチオシのお好み焼き屋はお好み村の中に存在しているからです。

内心「もっと良い店あるのに」と思ったのは言うまでもありません。

ところが!

素晴らしいお店でした。 このビル内の店はほぼ行きつくしたと思っていましたが、あったんですね名店が。

かなりぶっきらぼうな、見たところもしかして十代なのではなかろうか、というお兄さんが切り盛りしているお店です。 一見へんてつもないどこにでもあるお店に見えましたが、その手際の良さは並ではありませんでした。

お好み焼きが宙を舞うのです。

と書けば「どこぞのマジックパーラーじゃないんだから」と大袈裟に聞こえるかもしれませんが本当に舞うんです。

広島のお好み焼きは生地の他、麺、キャベツ、ブタと各々が混ざっておらず層となっていますよね。

その各々を炒める様子がまさに古代エジプトのスカラベであるがごとく、全てが球となって宙を舞いながら絶妙に炒められてゆくのです。

YouTubeに上げたら世界中から反響があると思いましたけどね、カメラを構える隙もなく一瞬の出来事で。

出来上がったのは乱れたところのひとつもない、整然としたザ・広島風お好み焼きでした。 まさに焼き手の内面が現れた一枚です。

お好み焼き屋において、メインディッシュはもちろんお好み焼きですよね。

そのクライマックスに向けてまずはイカを焼いてもらったり、ミノを炒めてもらったしてビールのアテにしながらキチンと胃袋も空けておくという段取りの中ドラマは進行します。

それら前菜の王様と呼べる一皿がとんぺい焼きで、これまでにもいくつかご紹介してきた次第ですが、この店のとんぺいは凄かったですね。

全てが合理的精神に基づいておるのです。

とんぺい焼きといえばまずは豚バラを焼いて、その上に卵を割り落とし、ネギを乗せ、返して、と組み立てていきますが、なんかちょっと無理があるんですよね作り方に。 今の例でいうと、返す際に熟練していないとネギが方々飛び散ります。

豚バラスライスを串刺しにして焼いたあと薄焼き卵でくるむ、という作り方もあります。 これなんて、書けばカンタンですけど「そうして作る必要性はどこにある」と問いただしたくなってきます。


とんかつ用のロース肉を玉子焼きで包む、に至っては、おろらく普段料理をしない人が考えたのではなかろうかと推測できます。 「豚と卵を使えばトンペイでしょ♪」みたいな。 これじゃ海老を一度も見た事がない人に描かせたソレです。

私がこれまでに出会った無数のとんぺい焼きの中で白眉なのは、間違いなく今回の製法です。

とっつきにくそうな様子の兄さんでしたが、聞けば丁寧にじっくり、親切に伝授してくれました。

作り方

鉄板を弱火で熱します。 この「弱火」というところがまた、敷居を低くしてくれています。 「鉄板」と聞けば反射的に「火力全開」と思いがちですが終始弱火のうちに進行してまいります。

卵を二つ割り落としたら、ヘラで無造作につぶし広げます。 兄さんはブルターニュのクレープ職人みたいに美しい円に広げておりましたが、なに広がれば良いんです。

ここでいったん塩・胡椒する所にシビレましたね。 普通ここで振らないですもん。 「隅々へ底味をつけておきたいのだ」という信念を感じます。

卵の上には刻んだネギを盛りましょう。 この「盛り」は、熟練してゆくにつれ増してゆくようにします。 まずはじめの一枚は、イメージしている半分程度の量でお試しを。 ネギの上には揚げ玉を散らします。

この辺の店ではイカ天散らしたりもするけどアレはヘンな味がついとるじゃろうが

と兄さん。

ここでもう一度かすかに塩・胡椒をする入念さに敬服しながら、このまま2分間静かに焼きます。

豚バラを一枚一枚ネギの上に広げ並べます。

肉を置く前にチーズを散らしたりもこの辺の店はするけどそれじゃ全部チーズの味になってしまうじゃろが

と兄さん。

肉を並べたら、その上からお好み生地を三筋たらします。 この三筋がイーですね。 長年とんぺいを作ってきた身としてはこの重要性が聞かずとも分かりました。 生地でボリュームを出そうとしているのではありません。 この三筋はいわば文鎮、返す際に皆がバラけてしまわないよう適度な重石となっているのです。

返して3分焼きましょう。

仕上げにまいります。 再度返して、カリッと焼けた豚バラの面が上になります。 ヘラで四等分したら皿に移し、お好みソースを塗ったら青のりを散らします。

ほぼネギだから、胃にもやさしい。

メインの事は立てておきながらも、主張したい部分はキチッと突き抜けるとんぺい焼きに乾杯!


レシピのツボ

  • いざ作ってみると思った以上にカンタンに作れてしまう事に驚くでしょう。
  • ソースではなく醤油をたらして食べるのもオススメです。
  • やはり兄さんも、とんぺい焼きという名の由来に関しては知りませんでした。

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19/05/08



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