皆、それぞれの話で忙しく、その人の主張はおそらく隣に座るオイのみの耳にしか聞こえていなかったようだ。 実際オイも、100%確実に全ての主張は 聞こえていなかったし。 やっぱりその彼(以後いいもとの書道家に似ていたので書道家と呼ぶ)も、自分のお気に入りの焼酎のネタを聞いてくれそうなヤツはオイしかいないとふんだらしく、 自分のお気に入りの焼酎を説明すべく全勢力を、全てオイに向けてきたのでした。
書道家:「焼酎はさ、芋が流行りやん?」 オイ:鳥ワサを食いながらだまって聞く。
書道家:「最近見つけたこの芋焼酎は、まだブレイク前やで?」 と、なぜか疑問符。
書道家:「ホラ、ここのメニューにあるやろ。 これや。」 オイ:「ほー。」
書道家:「えっと、シンスイ一本もってきて! 水イラン。 氷だけもってきて。」と注文。
機嫌悪そうなお店の女将さんが、「はぁ?」と聞き返す。
書道家:「だからシンスイやシンスイ。 もってきて! 氷いらん、いや、水がイラン。」
不機嫌そうな顔がよりいっそう不機嫌になる女将。「どぉれ?その焼酎は。」
書道家:「ほらこれやんけぇ。 25度の芋や! シンスイや。」
女将:「あんたこれはね、心水(モトミ)言うんやで。」
書道家:「へ?」「そうそう、この心水(もとみ)が美味いんやでキミ。 これ一本。」
と、ようやく自分のお気に入りの焼酎なのに、名前を間違えている書道家がテレくさそうに注文できた。 そして心水が氷と共に登場する。
書道家:「この心水はな、ロックで飲まなアカン。 ロック。」と、オイに焼酎を入れてくれる。
オイ:「ゴクッ。」おー美味しかですねコレ。 うん。 うまい。
書道家:(満足そうな笑みを浮かべている。 オレの仕事は終わったという感じ。)
オイ:「そいじゃ、ちょっとトイレいってきます。」と、席をはずすことに成功。
-さる美味い鶏専門店にて-
それでは自分で買って飲もうと、百貨店の酒売り場のお姉さんに相談すると、それならばこれもオススメよっ。 と紹介いただいたのが、 ちょっと長くなったけど、この芋焼酎 三岳なわけ。 これがね、外見は安い焼酎みたいなかんじなんだけど、美味いんですよね。 三岳酒造株式会社という熊毛郡屋久町の蔵元で、 名水百選の島でもある屋久島の千年杉の原生林で濾過された名水で仕込んだ焼酎とのこと。 コレ聞くだけで、 さらに美味しい。 最近では若干プレミアついているそうだし、 今のうちに沢山買い込んでおいて、 夜な夜なロックグラスをカランコロンいわせながらトンコツでも つつくのがよいかもしれん。