資生堂パーラーをご存知でしょうか。 洋食の老舗としてかの池波正太郎氏も通った味です。
今回作るカレーは、資生堂パーラーの総料理長 羽山靖夫さんによるものです。 昔の「男の食彩」を参考にしています。
※羽山靖夫さんが現在も総料理長なのかは不明です。
今回作るカレーのポイントは、ルーになります。 「おいしいカレーの基本はルーにある。 絶対に手を抜かないこと」と羽山さんもおっしゃいます。
さてますはラードを370グラム用意しましょう。 今回オイは市販のチューブ入りラードを用いましたが、およそ1本半で370グラムになりました。
※炒飯を作る際に書きましたが、チューブ入りラードには不純物がどうのこうの・・・という話もありますので、 お肉屋さんでもらえるラードを大量に用意できる場合はそちらのほうを使ったほうがよいかもしれません。 自家製ラードというテもあります。
くし型に切った玉ねぎを270グラム用意します。(今回は1個半でした)
皮をむいて小口切りにしたニンニクを70グラム用意します。(今回は丸々1個でした)
皮付きのままザックリ切ったショウガを100グラム用意します。(今回は大1個でした)
ラードをオーブン可能な鍋に入れて火にかけます。 「どうしてオーブン可能の鍋?」それは後々わかります。
※白くてカチカチのチューブ入りラードは、ぬるま湯にしばらく浸しておくと溶けてスルスルとしぼりだすことができます。
鍋を中火にかけて、玉ねぎを揚げはじめます。
根気よく玉ねぎを揚げていくと、こんがりキツネ色になります。 今回12分炒めました。 はじめのうちは状況に変化が見られずイライラして、片手間に何か別のことをしたくなってきたりもしますが、 目を離すと真っ黒コゲになってしまったりするものです。 おいしいルー作りのためです。 気長に炒めましょう。
この段階で、ラードには香ばしい玉ねぎの風味が移っているハズです。
気が済むまで炒めたら、玉ねぎを引き上げてのけておきます。 目安としては、タマネギがキツネ色になり浮かんできた頃になります。
次は同じようにニンニクをキツネ色になるまで炒めます。 それはもう、素晴らしい香りが立ち上ります。
ニンニクも引き上げてのけておきます。
この段階で、ラードには香ばしい玉ねぎ、ニンニクの風味が移っているハズです。
同じようにショウガもキツネ色に炒めてからのけておきます。
これでラードには香ばしい玉ねぎ、ニンニク、ショウガの風味がのり移っているハズです。 そうなのです。 これまでの作業は、ラードに香味を移すための工程だったのです!
まるでネギ油を作っているみたいでしたが、おいしいルーを作るためには必須の作業になります。 手を抜かずに行いましょう。
「どうしてタマネギ、ニンニク、ショウガを別々に揚げるのだシチメンドクサイ。 いっぺんに揚げてしまえばよかろうに。」という声が聞こえてきそうですが、 それぞれの野菜は火の通る時間が違うし、風味の出るタイミングも異なるのです。 別々に揚げましょう。
※油の温度が高いと風味が出ないうちに焦げてしまいます。 火加減に注意しながらキツネ色になるまで揚げましょう。 ニンニク、ショウガは2度揚げするというテもあります。
揚げたタマネギ、ニンニク、ショウガは用済みではありません。 あとで使うので大事にのけておきます。
火を止めて、すばらしい香味の移りこんだラードに、ふるった小麦粉を340グラム加えます。 よくかき混ぜましょう。
続きましてカレー粉をたっぷり150グラム用意し、その3/4を加えます。 150グラムは普段愛用しているSBカレー粉(37グラム入)約4缶分になります。
よく混ぜ合わせておきましょう。 残り1/4のカレー粉は後ほど使います。
完全に混ざったところで、鍋ごとオーブンに入れて、140℃で1時間ほど焼きつけます。
時折オーブンを開け、ザックリ混ぜ合わせ、均一に火が通るようにしましょう。 ちょうどビーフシチューの仕上げのようです。
カレーの香りが家中どころか付近に充満するので今日はカレーの日だということがバレバレになります。
カレー粉が焼きあがったら、のけておいた揚げタマネギ、ニンニク、ショウガに、残り1/4のカレー粉、 ローリエ、パセリの軸、タイム、セージ、ナツメグ(ブーケガルニ)を加えます。 よく混ぜ合わせてから冷まし、 トレイなどに流し込んでおきます。 しばらくすると、見覚えのあるカチカチとしたルーになっているはずです。 常温でも日持ちするそうなので、まとめて大量に作っておくと便利です。
さてルーはできあがりました。 いよいよカレーに仕上げていきます。
鶏がら1,1キログラムを220℃のオーブンで30分ぐらいこんがりと焼き上げます。 これにより、旨味が深くなるのです。
タマネギのザク切り375グラム(2個半)、ニンジンの乱切り150グラム(一本)をサラダ油で炒めておきます。
何らかをダシにしてブイヨンをこしらえておきます。 ブイヨンとは鳥や牛、魚の肉や骨から煮出した汁のことです。 資生堂パーラーでは二番ダシを使うそうですが、 面倒な場合は固形スープの素でも結構です。 ちなみに今回は、カツオブシと鶏がらで作りました。
鍋にブイヨン、炒めたタマネギニンジン、焼いた鶏がら、そしてルーを加え、中火にかけます。
リンゴをたっぷり2個半分皮付きのまま切り分けて投入します。
煮込みつつトマトピューレを大さじ3加えます。
※市販品で結構です。
さらに塩を大さじ3加えます。
鶏がらがボロボロ煮崩れ、リンゴがフニャフニャになるまでおよそ2時間かけて煮込んでいきましょう。 焦げ付かせないようにご注意ください。
十分煮込むことができたら、目の荒いこし器や金ザルに移して少しづつこします。 各素材を突き崩すようにこします。
こした後さらに目の細かいシノワでもう一回こすと、なめらかな舌ざわりのソースができます。
いよいよ仕上げに入ります。
醤油、ウスターソースを各大さじ3杯づつ加えます。
砂糖を思いきって大さじ6杯投入します。
塩を大さじ1/2投入します。
バターをお好みの分量投入します。
チャツネを大さじ3杯投入します。
あとはよくなじんで、軽くトロミがつくまで煮詰めると、ようやくカレーソースの完成となります。
※市販のマンゴーチャツネなんかで結構です。
以上が資生堂パーラー式カレーソースの作り方です。 これをベースにして、色んなカレーライスを作り出すわけです。
「え?今までカレーベースを作ってたの? じゃあまだ食べれないの?」
ご心配なく。 今作ったばかりのカレーソースをなめてみてください。 きっと「あっ」と声をあげてしまうような美味しいカレーの味がするはずです。 カレーソースをそのままご飯にかけてカレーライスとして食べてもよいのです。
カレーソースさえあればどんなカレーだって作ることができます。
以上資生堂パーラー式カレーでした。 「インド人の方にいわせると、ルーを使ったカレーは帝国主義そのものである」 というような話がひとり暮らし 料理の技術にありましたが、今回のカレーはルーがキメテのカレーです。
普段ぷちぐるのレシピではこれといって分量の表記をしませんが、今回は細かく分量を指定しています。 どうしてかというと、非常に美味しいカレーソースが作れたからです。 レシピの分量どおりに作ってみて美味しいと感じたのはしばらくぶりでした。 一度、この通りの分量で作ってみてください。 かなりオススメです。(2、3日置くと相当イケます)
なれてきたら自分好みにアレンジしていけばよいかと思います。 好みのスパイスを使ってみたり、調味料の分量を増減させる等。
今回のカレー作りで勉強になった所は、カレー粉、砂糖、リンゴの分量です。 それぞれいつものカレー作りの倍程度使用しています。 これが美味しさの秘訣なのかな、と感じています。 普段子供がいるのでカレー粉は控えめに投入していますが、今回の分量でも1歳半の息子はバクバク食べていました。
又、ルー作りの際、サラダ油ではなくラードを用いることでも大分味が違ってくるようです。
09/1/11