新幹線で相席した方が酒蔵の社長さんで興奮しました。 酒談義に花が咲き、長旅が嘘みたいにアッっちゅう間に目的地に着きまして、 降り際社長が黒革のブリーフケースから取り出したのが、一枚の鴨ロースでした。
京都の老舗が作っているお気に入りだそうで、おすそわけいただいたのです。
合鴨ロース、つまり胸肉を一枚用意します、とかいいながら、あれだけよく見かけた鴨肉がどこにも売ってないもので、 今回鶏胸肉で代用いたします。 なんか冒頭から申し訳ないです。
フライパンをよく熱し、弱火に落とします。 それから塩、胡椒をした胸肉の皮面を下にして静かに入れます。 瞬間「ジャッ」と音がしますが臆せずしばし、見守ります。 油は不要です。 なにせ合鴨には多量の脂がありますからね。
しばらくすると、ジリジリ油がにじみ出てきますから、それをスプーンですくってはかけ、すくってはかけ、を繰り返します。 ユーリンチー的な作業です・・・
という話なのですが、なにせ今回使用しているのは鶏胸肉であります故、さほど油も出てこないので、チーユを加えてそれをかけてます。 オリーブオイルなどでも美味しく作れます。
フライパンをかたむけては油をすくい、かける・・・はじめのうちはメンドクサイなとか思いますが、肉に火の入る様が顕著になるにつれ、次第に楽しくなってくるでしょう。
「肉は一度も返さずに、この油かけだけで火を通します」
「ちゃんと火が入るやろか」と不安もおぼえますが大丈夫です。
身の部分全体に焼き色がついた頃取り出せば、皮面は「せんべい」みたいにキツネ色でカリカリになっていることでしょう。 思わずかぶりついてしまいそうになるところ、
天ぷら紙でくるみこんで、しばらく置くのです。 余熱で芯まで微妙に火入れしようという魂胆で、鴨ロースといえば肉の中心部がほんのりピンク色のミディアムレアに仕上げるのが神髄でありまして、 モノにもよりますが、5分ほど寝かせば十分でしょう。
包みをひらけば、肉汁がじっとり出てきているはずです。
この肉汁と、フライパンに残る油をひとつにし、ポン酢で割ったのがサッパリソースです。 今回カボスも絞りこみまして、 切り分けた肉の上からかけていただきます。
ページトップは強めに火入れした家族のためのおかずでして、自分用に仕込む際は、焼く際肉の表面が白くなったらすぐ火からおろし、寝かせずそのまま切ってつまむ生々タイプです。
つまんでみれば「これがホントに胸肉か!」と驚かずにはいられないムッチリとした食感で、素材へじっくり火を通す事の重要さをしみじみ感じ入る事ができます。
鶏ムネ肉にて鴨ロースを作る。
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14/10/14