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手打ちそばざるそば

手打ちそば

先日「日本酒専門のバー」に連れていってもらいました。

「Don't Think. Feel !(考えるな、感じろ!)」と今にも聞こえてきそうな程、目つき、物腰がブルース・リーにそっくりのマスターがいて、 いろいろと飲ませてもらいつつ、勉強させていただきました。

飲むうちにマスターとも打ち解けてきて、つい「ブルース・リーに似てるっていわれませんか?」と尋ねたところ、イエスの返事と、日本酒においても「Don't Think. Feel !」なのだという教えを受けました。

やはりこの店にもありました。

気分がよくなったマスターは、メニューに載せていないとっておきの日本酒を出してくれたのです。 感じるように飲みますが、オイとしてはもう、 「この酒ハンパなく旨え!」ということくらいしかわかりません。 チビチビ味わいながらどうこう言うぐらいなら、グビッと飲み干して「いやー旨い旨い、ハハハッ」と笑って次の日本酒にいきたいものです。

「さて、よく飲んだしそろそろシメますか」という空気になったところで、マスターにもうひとつ芸があることが判明しました。 それが、手打ち蕎麦なのです。 是非ススって帰れということです。

「えっ、今から打てるんですか!?」

と聞くと、15分もあれば十分だ、という返事です。 では待ちますのでもう少し日本酒をください。  ・・・マスターが奥に引っ込んでから30分ぐらい過ぎたころでしょうか。 人数分のざるそばをお盆に乗せて、 マスターはヒタヒタと歩いてきました。

講釈も聞かずに一気にススリます。 これが旨いのなんの、これが旨いのなんの。 手打ち蕎麦ってこんなに美味しいもんなんですねえ!と場が一気に活性化してしまいました。

こうなりゃどうやってこの蕎麦を打ったのかを聞くまでは帰れません。 予定にはなかった次のお店へと、マスターを引っ張り出して朝まで飲んだのでした。

そば粉

蕎麦粉

それでは、蕎麦打ち開始です。

今回長崎にある蕎麦屋「そば幸」に食べに行った際入り口で売られていた蕎麦粉を使用しています。 普通にスーパーにもそば粉は売られていますので覗いてみてください。

今回は二八そばを作ります。 二八蕎麦とは、そば粉が8小麦粉が2の割合で打った蕎麦のことです。  何でも寛文頃定式化されたのだとか。

対してそば粉100%で打つことを生粉打ち(十割蕎麦)といいまして、味は良いのですが打つのが非常に難しいです。  実は何度か生粉打ちをやってみたのですが生地がまとまんないのなんの、切れるし・・・ということで二八です。

そば粉中力粉をあわせてからふるいにかけておいてください。 今回そば粉400g、中力粉100g、あわせて500gで作っています。


卵水

卵水

ボールに一個を割り落としまして、そこへを200グラム注ぎこみます。 よく混ぜ合わせると、これが卵水です。


水回し

水回し

ふるったそば粉を家で一番大きなボールに入れて、真ん中を火山のようにヘコませておきます。 そこへ卵水を半分ぐらい注ぎます。

※卵水は粉の上だけにかかるように注いでください。 ボールにかかると、粉がくっついて面倒くさい作業になります。 そのためにヘコませるのです。


卵水投入

粉と水を軽くあわせます。 そして徐々に、少しずつ残りの卵水を加えていきます。  両手を使いバッサバッサと粉、水を合わせていきます。 粉の一粒一粒に水が回るよう心を込めながら。 自家製麺を作る要領と同じです。

生地の様子をみて、水を全部使うのか否かを確認します。 この辺は「慣れ」です。

※水回しが不十分だとそば粉に粘りが出ないので打ちにくく、切れやすくなります。


そばをこねる

こね

そば粉全体に水気が行き渡ったところでこねはじめます。 一塊の団子状にまとめてください。 これぞ「そば玉」です。


つぶす

のす

台の上に打ち粉(そば粉)をたっぷりふって、団子を置きます。 上から手のひらで円盤型につぶしましょう。 向きを変えつつ均一の厚みになるよう心がけてください。


のす

麺棒を取り出します。 打ち粉をたっぷりと振ってから生地が50センチ程度に広がるまでコロコロやってください。


四つだし

四つ出し

また打ち粉を振って、麺棒で生地をクルクルと巻き取ります。  手打ちパスタを作る要領です。 麺棒をコロコロ回転させながら生地をさらに薄くのばします。

コロコロ続けていると、円形だった生地が楕円形になってくると思います。 そうすると今度は、90度麺棒の向きを変えて、生地を巻き取ります。  またコロコロやっているといつのまにか生地がほぼ正方形になっているハズです。 これが四ツ出しです。

でもまあ、正方形にならなくたって、ちゃんと蕎麦になりますから、あまりこだわらずに生地を均一に2ミリに厚になるぐらいまでのばせば問題なしです。  500gの生地でも2ミリ厚に伸ばすと70センチ四方ぐらいに広がりますのであらかじめ作業スペースは十分確保しておいてください。


そばを切る

切る

のばした生地に打ち粉を振りまして、お手持ちの包丁の幅に合わせて折りたたみます。 あとは左手を生地に添えて、キャベツの千切りでもするかのように2ミリ幅ぐらいに切りわけていくのです。  手打ちうどんと同じです。


手打ち蕎麦セット

手打ち蕎麦セット

「言うは易く、行うは難し」とはこの事です。

実はこの日のために麺きり包丁麺打ち台駒板をそろえたんですよ。

生地をのばすまでは順調だったんですが、生地に駒板を添えて、いざ切ってみるとこれができないのなんの・・・駒板を支える左手がまるで自分のものではないかのように言うことをききません。  2、3発ひっぱたいてやったのですがいうことをききませんでした。

「駒板を添えて切る」という作業が人生初の試みだったので体が言うことをきかないのです。 もう、もどかしいったらありゃしない。 せっかく買ったのに、使いこなせないのです。

ですから駒板ははずして、手を添えて切りました。 それがまた、麺きり包丁に不慣れなせいで切れるもんも切れない始末です。

この世界、木鉢三年、のし三月、包丁三日といわれるそうですが、三日切ったところでは慣れそうにもありませんので、しばらくは駒板使いの練習に励むことになりそうです。 軽いショックです。

ぷちぐる掲載アイテム一覧→そば打ち道具

※本来ならば、包丁の腹で駒板を押しながら切ります。


不ぞろいな蕎麦たち

悪戦苦闘しながら切り分けたのがこちらの蕎麦です。 太い、不ぞろい、不十分。 3F揃ってます。 まさかこの蕎麦を茹でてハイ手打ち蕎麦できあがり!なんて言える度胸はありませんので、 これはこれで置いといて、次の手にでました。


パスタマッシーン

パスタマシーン

心強い味方、パスタマシーンです! これさえあれば麺は何とかなります。 早速生地をちょうど良い幅にカットして、細い刃に通しました。  蕎麦の生地は弱いので、いつもより若干慎重です。

パスタマシンのそば

やった、蕎麦ソックリの麺が打てました! やっぱパスタマシンだよなあ。 でも憧れているのは、角の立った蕎麦麺なのです。 蕎麦といえばカドがねえと食感がですね。  これほど角を恋しいと思ったことはありません。 駒板と麺切包丁の修行に励みます。 蕎麦が切れたら、うどんも上手に切れるようになるハズですし。

※切り分けたソバはさばいて、風が当たらないように保管しておきましょう。


そばを茹でる

そばを茹でる

打ちあがった麺は即茹でるよりも30分ぐらい置いてからがよいものです。

大きな鍋に湯をたっぷりと沸かして、そばを少しずつ投入していきます。 菜箸でほぐし、蕎麦が鍋底に沈まないように中火ぐらいで茹であげます。

そうめんを茹でる時のように差し水をしてはいけません。 ふきこぼれそうになったら火加減をゆるめて対応してください。

今回の茹で時間は、2分30秒です。

※蕎麦を鍋底に沈めてしまうと歯切れが悪くなります。


そばを洗う

蕎麦を洗う

そばをすくい上げて、冷水でザブザブ洗います。 ぬめりをとるのです。 仕上げに氷水の中でさらしてから引き上げるとコシのある蕎麦になります。

※引き上げたソバは、即喰ってください。


そばつゆ

そばつゆ

そばつゆに関しては作り慣れためんつゆがあります。 かえしに出汁を好みの濃度になるようあわせてから用いました。

話は脱線しますが「かえし」ってあらかじめ作っておくと便利ですよ。 和風の料理ってかえしの活躍できる場面が多々あることに気づきまして、大量に作り置きして冷蔵庫で保管しています。

作り置くことにより味が丸く、深くなるのでオススメです。 一度作ると一月ぐらいは持ちますし。

さて、茹でて洗った蕎麦をせいろに盛って、おろし大根おろしわさび海苔刻みネギなどを薬味にそえてススりこみます(ページトップ)。 マスターの蕎麦とは比べ物にはなりませんけど、 蕎麦の香り豊かで美味しかったです。 もうチョイ細めに打ったほうが美味しくなるような気がしています。


そば湯

そば湯

普段蕎麦屋に行ってもそば湯のことはあまり気にかけませんが、自分で打った蕎麦のそば湯なら話は別です。 そば猪口の底に残ったそばつゆの上からそば湯を注ぎます。  しみじみと、そば湯です。

昔、そば屋ではお茶を出さなかったそうです。


かけそば

かけそば

かけそばでも食べてみました。 まずまずでした。 オイの蕎麦人生は幕を開けたばかりなので、これから試行錯誤していこうと考えています。  このページも2ページ、3ページと増えていく予定です。


手打ちそばのツボ

  • 生粉打ちの際には熱湯を用いる。 手早く打たないとつながりにくくなる。
  • 生粉打ちは茹で時間が短い。
  • 木鉢三年、のし三月、包丁三日といわれる世界。 こねが一番難しい。
  • ご飯のかわりに茹でた蕎麦を使ったそば寿司という料理もある。
  • 素人蕎麦打ちの段位認定制度というものある。
  • 麺棒は長いものをご用意ください。
  • 『手打ちそばの技術』の著者、片倉康雄は「唐辛子にそばそのものの味を引き立てる働きはない」という。 神田の「やぶそば」のテーブルに七味はない。
  • 蒸籠にある蕎麦の残り一本をつまむときは、割りばしを垂直に立ててつまむとよい。
  • そばのゆで方もどうぞ。

おさらい

マスターに触発されて蕎麦を打ってみる。

10/05/11


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