今回は牛スジを柔らかくなるまで煮込んで、「スジポン」と「スジ煮込み」にして食べます。 さらに煮込んだスープで麺を茹でて食べるという無駄のなさ。 是非一度お試しください。
我が家では冬、ストーブを使用する際、その上で何かしらを煮込んでいるのですが、 その代表格が牛すじです。 放っておいても勝手に煮上がる簡単さがステキです。
しかし別に冬でなくたって牛すじを食べたいものです。 いまいちよくわかりませんが、とにかく牛すじをたんまり購入してきましょう。
さて、牛スジを適当な大きさに切り分けておいて、煮込みます。 大鍋にたっぷりと水を張り、牛スジを投入します。 そして長ネギを一本放り込んだり、 ニンニクを叩き潰して入れてみたり、 ショウガ、タマネギ丸ごと一個、 黒コショウ、月桂樹、酒、 ワイン等などイロイロ入れてみて、グツグツと煮込みます。
※アクはこまめにすくいます。 煮続ける前に一度茹でこぼす方法もありますが、 オイはいつもやりません。
ずーっと煮込んでいると、水かさが減ってきます。 煮汁はあとで大事に使いたいので、 その都度水を追加しますが、濃縮したいのならば、そのまま水は加えません。
煮込む時間は2時間以上、その後は何時間煮たって構いません。 ウチでは朝から晩まで煮込んでいたりします。 スジが柔らかくなった頃、取り出して器に盛り、 上からポン酢をかけて小ネギでも散らせばページトップのスジポンのできあがり。
※圧力鍋を使用すると、短時間で柔らかく煮ることができますが、 なんだか臭味が強くなるような気がします。
牛スジが十分柔らかくなってから、別鍋にスジ肉と、ちょっとの煮汁を取り分けて、 ザラメ、味噌(テンメンジャン)、 醤油を入れて煮つめるとスジ煮込みのできあがり。 今回は味噌を多めに入れて作りましたが、醤油を多めに入れても美味しくできます。
スジを煮込んだあとの煮汁は貴重なものです。 おでんやスジカレー、 オニオンスープなんかにも活用できますが、今回はスジの煮汁を使って蘭州牛肉麺を作ってみたいと思います。
この妙な名前の麺は何であるか? それはですね、朝日新聞の記事で発見した中国の麺であります。 乾いた土肌が目立つ中国甘粛省蘭州市。 街を貫いて流れる黄河と並ぶこの地の名物が、蘭州牛肉麺なのです。
蘭州牛肉麺を食べさせてくれる店が蘭州市内には3000店もあるそうです。 ラーメンといえば豚骨をつい思い浮かべてしまいがちですが、 この蘭州牛肉麺では、牛骨や頭、牛肉などでスープを抽出して作ります。 その理由はというと、中国で回教と呼ばれるイスラム系の民族料理であったために、 スープは豚ではなく、牛から抽出するのだとか。
今回、牛スジのスープで作ってみますが、 牛テールや 牛スネなんかだと、 より良いスープが作れると思います。
そんなスープに塩で味付けをして(スープは透明だそうなので)、 ごま油、酢を少々加えて味を調えます。
麺はそうめんのような細さから、5センチ以上の太麺まであるそうですが、 今回は中華麺を使いました。
麺は別に茹でておきます。 トッピングは牛肉、ニンニク、香菜、 赤唐辛子などをお好みでどうぞ。 今回は小ネギ、あらかじめのけておいた牛スジのせん切り、粉唐辛子です。
仕上げにラー油なんかたらしこんでも旨いです。 スジポンで一杯飲って、シメで蘭州麺だなんて最高です。
地元の人々は朝食として食べています。 理由は1清んだスープに2白い大根、3紅い唐辛子に4緑のネギとシャンツアィ、そして5黄色の麺。 寝起きの身体を目覚めさせ、元気にさせる五つの要素が入っているからです。
蘭州牛肉麺の麺はかんすいを使うのが特徴で、コシと風味をつける為に用いられます。
中国には麺の種類が豊富にありますが、かんすいを使うのは蘭州だけだといいます。
このカンスイ、以前はゴビ砂漠に生える植物を焼いて灰にし抽出していたそうですが、今では科学物を使っているそうで。 ちなみに拉麺の拉は「引っ張る」という意味でして。
※中国全土で有名なこの蘭州牛肉麺が値上げされ、苦情が相次いだために市政府が上限価格を設定すると発表したそうです。 「大盛牛肉麺は2.5元(約40円)を超えてはならない」というもの。 値上げの理由は食用油や牛肉の高騰だそうで、 800店が一斉に20%値上げをしたのだとか。(2007/7/14付朝日新聞より)
更新日:23/04/22
公開日:06/02/21