小学生の頃の社会科見学で蒲鉾工場に行き、クルクル回る竹輪に見とれ、先生に叱られたりしたオイですが、まさか自分でカマボコを作るようになるとは思いもしませんでした。
市販品は目にも美しく、板わさなんかでよくつまんだりもするのですが、 食品添加物なんかがテンコ盛りのイメージがあります。 ここはひとつ、魚本来のウマミを楽しむつもりで蒲鉾作りに励んでみたいと思います。
はじめに白く艶やかな肌を持つ板カマボコを作ってみたいと思います。
カマボコの原料としてよく知られているのは、エソ、グチ、スケトウダラ、ニベ、イサキ等ですが、白身魚やアジなど青魚でもなんだって作ることができます。 要は魚をすり身にして、調味料を加え、焼くか蒸すか揚げるかすればよいのです。
右図の恐ろしい形相をした魚はエソ(狗母魚)で、マエソ、アカエソ、オキエソなんていう種類がありますが、今回使用するのはマエソです。
この魚はイシモチです。
イサキも手に入ったので、こちらも合わせて原料としたいと思います。(以下説明は、イサキを例に行います)
まずは魚のウロコをとり、頭を落とし、内蔵を取り除きます(魚の下ろし方→)。
その後3枚おろしにし、皮をはいで、魚の身をムダにしないよう、中骨は骨抜きで丁寧に取り除きましたが、本来板付き蒲鉾では白身魚の白身の部分のみを使用し、血合いの肉は用いないのだそうです。
※骨抜きにした魚の身を皮からスプーンでかきとったりする方法もあります。
『身だけ』になった魚を、トントンと包丁で叩いて軽くミンチ状にしておきます。
身を器に入れて水を注ぎます。 かき混ぜてしばらくおいておくと、ウロコや取り忘れた小骨などが浮かんでくるので、それを丹念に取り除きます。
※身を長時間水に浸しておくと、旨味が抜けてしまうので注意が必要です。
綺麗になった身を、ガーゼにとります。
ガーゼを絞って、徹底的に魚の水気を切ります。 徹底的にです。
水気を絞った魚の身を計量しておきます。
身の重さによって、塩等加える調味料の分量が決まってきますので、ここはキチンと計量しておいたほうがよいです。
※ちなみに塩は、魚の身の3%の分量使います。
さて。 魚の身をすり鉢に入れて、そこへ使用する塩の半分をまぶしておきます。
今回ですと、身が375gだったので、塩は約11g。 その半分の分量の塩だから、5g程度でよいです。
まるで親の敵であるかのごとく、徹底的に魚肉をすりつぶします。
すりこ木をガリガリ……と高速で回転させ、我を忘れたかのごとくムキになってすりこぎます。 この姿を他人に見られたならば、おそらく一生口をきいてもらえなくなるかもしれないぞ、というほどガンバリマス。 すり鉢の側面に魚肉をこすり付けるようにすることが経験上のポイントです。
※口をきいてもらえなくなるのが気になる方は、フードプロセッサを使用してください。
ムキになってすりこむことができたでしょうか。
魚肉は、塩の持つたんぱく質溶解作用により、ネバリが出てきていると思います。
ここで残りの塩を全て投入し(6g)さらにすります。 白目をむきながら必至ですると、だんだんとツヤやかになってきます。
気がすんだら、砂糖を身の9%(34g)、味醂を身の6%(23g)、卵白を一個半投入し、さらに練ります。 すり身がプリプリなったところでようやく蒲鉾の素できあがり。
※各調味料の分量は、お好みにもよります。
今回は板カマボコを作るので、出来上がったすり身を、その辺に転がっていた板にこすりつけて成形しましたが、手を濡らしてすり身を竹の棒にまきつけて、それをキリタンポのように炙ればちくわとなります。
さらにすり身にすりおろした山芋を混ぜ込み、茹で上げるとなんちゃってハンペンになります。 おでんなんかに活用できるというワケです。
ここまでの苦労がようやく報われたという気がしてなりません。
さて板かまぼこですが、ヘラを巧みに操り、プロのように板の上で成形することはなかなか難しいので、気のみ気のまま、好き勝手に板にこすりつければそれでよいかと思います、だって手作りなんだもの。 見た目が少しアレだって、ウマけりゃそれでいいんです。
成形した板カマボコを蒸します。 蒸す時間は、作る大きさによっても若干違ってくるとは思いますが、大体15分ぐらい蒸しあげれば芯まで火が通っていました。 各自試されてみてください。
蒸しあげた板カマは氷水にとり、3分程度漬けておき、その後取り出して水気を切ります。 好みの厚みに切り分けて、食べるわけです。 蒲鉾って、こんなに美味しかったのか、なんて思えます。
さて次は薩摩揚げを作ってみたいと思います。 すり身の作り方は上と同じでよいのです。 使用する魚はアジやアゴなんかを使えばさつまあげらしく仕上がります。 本場ではアジを中骨ごとミンチにしたりするそうです。
すり身を小判型に成形し、そこへ思い思いの具材を混ぜ込みます。 今回はショウガ、ニンジン、ササガキゴボウのせん切りと、枝豆を混ぜ込んでみました。 本場のさつまあげの形は丸いか棒状になるそうで、短冊に切ったニンジンを干して、すり身でくるむそうです。
※別に小判型にこだわらなくたっていいです。 小さい俵型に成形し、中にチーズを入れて揚げてみたり、レンコンの輪切りを埋め込んだりするのも楽しいです。 タマネギは相性抜群です。 成形してから一晩寝かすとなじみます。
小判型のすり身を、160度ぐらいの油で揚げます。 仕上げにごま油をひとたらしすると、風味がよくなりました。
さつまあげのできあがり。(ちょっと揚げすぎたかな) これでビール、飲んでみませんか。
本場鹿児島ではさつまあげを「突っきゃげ(ちっきゃげ)」と呼ぶそうです。 かなり甘めに作るのだそうです。
1.1〜1.2センチらしいです(東海林さだお氏:バナナの丸かじりより)。
更新日:23/01/26
公開日:07/05/01