数年前にハマって通いつめたのが、長崎市内にある鯉料理屋の「鯉山水」でした。
船盛で出される鯉の洗いに夢中になり、日本酒をグヒグヒ飲んだものでした。(そういえば鯉こくもかなり美味しかった)
さて今回は、その洗いを家で作って食べてみます。 作り方は辻留「辻嘉一 献立帳」によるものです。
※ついに鯉で洗い、 鯉こくを作りました(2011/12/07)!
さて「あらい」を作るにあたり、魚を吟味するのがひとつの楽しみなのです。 やはりここはあの感動をもう一度ということで鯉を使いたいと思います、 という風に話が進むとよいのですが、食用の鯉ってどこに売っているのでしょうか・・・。 探せませんでした。 何なら川で泳いでいる鯉を捕まえてきて食ってやろうか、なんて一瞬考えましたが、 やめておきます。
今回使用する魚はスズキです。 辻嘉一さんは、スズキ、チヌダイ、コイ、車えびを使うと書いておられます。 車えびなんかでやると相当旨いと思われますが、 予算の都合上、スズキを用います。 いずれの魚を使用する場合も、ピチピチと活きのよいものを用意します。
そんなスズキを三枚におろし、刺身にします。
刺身をボールに移し、上からザルをかぶせます。 ちょうど刺身をオリにどじ込めた格好になります。
そしてその上から、水道の水をかけるわけですが、蛇口を全開にして、まるで滝のような勢いの水流を刺身に浴びせかけるのです。
そう、この瞬間がまさに「洗い」なのです。 あらいというぐらいですから徹底的に洗わねばなりません。 激しい水流の中で刺身がおどりまくりますが、上からザルをかぶせているので、 流れ出る心配がありません。 心置きなく後悔のないように洗ってください。
用いる魚が新鮮であればあるほど、身がちじれ、反り返ります。
※できれば浄水器の水を使いたいものです。
ある程度身がしまった頃、氷水の中へ刺身を移しかえて冷やします。
あまりにも長い間洗ったり氷水に漬けておいたりするのはよくありません。 刺身が冷えた頃を見計らい、手早くザルにあけて、徹底的に水を切ります。
水切りした刺身をあらかじめよく冷やしておいた器に間髪いれず盛り付けます。 あらいに添える薬味としては、青ジソやミョウガ等がよく合います。
今回は鰹の刺身を食べたときのように、盛り付けた器の周囲に氷を張り巡らしました。(ページトップの画像)
濃口、薄口醤油を半々であわせたものにレモンをたっぷりと絞込み、これもやはりキンキンに冷やしておいてから使います。
おろしたての山葵をちょこっとつけて、食べます。 夏は洗いにかぎります。
普段刺身を食べる際には、その魚の旬を気にし、脂の乗り具合を確認することに気をつかうのですが、この洗いでは、こともあろうに魚の脂を洗い流してしまうわけです。 辻さんはこう言います。
お刺身のうま味に必要な脂肪分を流してまでも、別種のうまさを求めた祖先の生活の知恵も味わって欲しいものです。
08/08/05