ずいぶん前に、スズキで洗いをこしらえたことがありました。
「洗い」とは刺身を冷水で洗ってから冷やしたもので、鯉や鯛、スズキなどの魚で作られるものです。
今回念願の食用鯉を入手できましたので、早速洗いを作ってみます。 後半では鯉こくもいただきます。
これが食用の鯉です。 検索を繰り返してたどり着いた福岡にある「広松養魚場」より取り寄せたものです。
電話して「鯉を一度自分でさばいて食べてみたいんです」とお話すると「それなら1.5〜2キロぐらいの鯉がいいですね、早速送ります」という流れで届きました。
鯉料理の基本は「活きた鯉を使うこと」になります。 今回の鯉は、ビニール袋の中を悠々と泳いでいる状態で我が家に到着しました。
キロあたり900円なので、そう高いものでもありません。
鯉をそっとすくいあげ、まな板の上にのせます。 まさにまな板の上状態です。 そして体をぬれぶきんでおさえつつ、 包丁の背で頭をゴンとやり、気絶させます。
すかさず鯉の首筋に刃を入れて、中骨を切りこみます。 血がでてきますので、頭を保持しながら背をおりまげて、しっかりと血抜きをします。
あとは普通に魚を三枚おろしにする要領で頭を落とし、 身と骨にわければよいのですが、ここで問題になるのが苦玉です。
苦玉とは胆のうのことでありまして、さばいている途中についうっかりこの苦玉を潰してしまうと、 魚全体が苦くなってしまうという恐怖の塊なのです。
ですから細心の注意を払いながら苦玉を避けつつおろさねばならないのです。 苦玉は肝臓の間に挟まっておりまして、ちょうど鯉の右脇下、ウロコの三枚目あたりにあると言われているのですが、これは季節によって位置が違ってくるらしいので、 あまり当てになりません。
ですので今回、血抜きをして頭を落とす前に、腹を少しずつ裂いていき、慎重に内臓を取り出すという手法をとりました。 ちょうどブリでからすみを作る際に真子を取り出すときの要領です。
※鯉をおろす際身などに血がついてしまっても洗ってはなりません、絶対に。
右図の黒い玉こそが、苦玉です。 苦玉以外の内臓は後ほど鯉こくを作る際に使いますので、大事にのけておきます。 今回白子がたんまりと入っておりました。
苦玉さえなくなればこっちのもんです、チャチャッと三枚におろしまして、
腹骨をかきとり、背と腹に分け、
皮を引いて、
薄くそぎ切りにするのです。
あとはスズキの時のように流水でジャカジャカ洗い、
身がしまったところで氷水にさらしまして、身が縮んだところで水気をしっかりと切り、冷やした器に盛り付けます。
醤油にレモンを絞りこんだものでサッパリいただくのも旨いもんですが、今回は酢味噌でまったりつまみます。
※刺身にする際に出るウロコ付きの皮や骨(アラ)は、すべて鯉こくに使いますので捨てずにのけておきます。
以上鯉の洗いでした。 次は鯉こくを作ります。
※今回洗いを作る際、そぎ切りにする段階で身の背側に不可解な小骨の列を発見しました。 骨抜きで抜こうとしてもしぶとくてしぶとくて・・・結局その部分は鯉こくに使うことにしました。 海水魚には見られない位置の骨なので、しばらく考え込んでしまいました。
活きた鯉をおろして身を洗い、十分に冷やして食べる。
11/12/07