こちらが外国産の松茸様です。
その傘の開きっぷりと茎の細さから、カミさんに見せると「これシイタケじゃ?」とからかわれたほどです。
でもこれは、紛れもない松茸でした。 ひとつ手に取りクンクンしてみると松茸の香りがしますし、何よりパッケージに松茸と書いてありましたから。
それでは早速松茸ご飯作りをはじめます。
事もあろうに、松茸の傘と軸を切り離してしまいます。 大変なことをしているような気もしますが、これでいいのです。
松茸の香りをつかさどるのは傘だ、と辰巳浜子さんはおっしゃいました。 だから傘はべつにのけておいて、焼いて食べてしまい、 茎だけをまつたけごはんとして活用しようではないかという話なのです今回は。
松茸の軸の石付きを削り落として、薄く切り分けましょう。 松茸テンコ盛りのマツタケごはんを演出したい場合は、軸をごく薄く切りわけるスキルが必要です。
松茸ぐらいでガタガタいうな、もう何本でも国産松茸を用意できるぜ俺は、というビッグな方はザックザクのあっつ厚に切ってください。
あとはお米と一緒に松茸スライスを炊きこむだけです。
炊飯器で炊いても良いですけれど、今回は土鍋で炊き上げました(米の炊き方:土鍋ご飯→)。 水の変わりにかつおだしを使い、薄口醤油を少々たらしました。
牡蠣めしや、鯛飯を作る要領です。 炊き上がるとすこし蒸らして呼吸を整え、軽く茹でた三つ葉の軸をみじん切りにして散らしました。(ページトップの画像)
のけておいた傘の部分を丸ごと塩水で洗います。
あとはただ焼くだけです。 まずは内側のほうから焼きはじめ、傘から水滴が落ち始めたらすぐに裏返し外側を焼きます。
予定ではこの後、傘に水気がたまってシュウシュウいいだすハズです。 その頃には芯まで火が通り、食べ頃になっているハズです。 室内は松茸の香りが充満し、いい気持ちになってくるハズです。
醤油に柚子を絞り込んで食べるときっと、おいしいハズです。
次は傘だけでなく、丸ごとまつたけを焼く方法です。 まつたけに軽く塩を振り、和紙でくるんで水に濡らします。
それを炭火で焼き上げるだけです。
でも焼き網の上で焼いていても、いくら経っても焼けてくれません。 これではもう晩酌が終わってしまいます。
あ、そういえば辻嘉一先生は 「和紙でくるんだまつたけを熱い灰の中に埋めて蒸し焼きにするのが理想だ」と書いておられたことを今思い出しました。
急遽焼き網をとっぱらい、ぼんやりと赤い炭の中にうずめました。
しかし短時間でよく焼けたものです。
黒こげになった和紙をほどいてゆくと、堂々とした焼きまつたけが現れました。
焼きたてを裂くと、まさに松茸然と裂けてゆきます。 シャクリとした独特の食感、風味もまたまつたけ然としておりました安物でも。
柚子を絞り込んだ醤油で食べるとまた格別です。
松茸を2つか4つに切り分けて土瓶一杯に詰め込み、酒と薄口醤油を注ぎ入れ火にかけて食べる、というのが古きよき時代の贅沢などびんむしで、
今では松茸がむちゃくちゃ高価になったので、松茸を薄く切って少々用意し、鱧、車えび、鶏肉、銀杏、三つ葉など、松茸外のものを色々入れるようになりました(松茸でない土瓶蒸し)。
09/10/22