味噌煮込みうどんの美味しいお店へ向かうハズが、 「ちょっとその前にビールでもひっかけていこうよ。」なんて話になり、 ビール1,2杯で終わるハズもなく、夜の街をダラダラと午前3時まで俳諧したわけですが、胃に何も入れずに飲んじゃったので翌朝つらいったらありません。
そんな時は冷やしうどんなんかススリたいわけですよ。 でもいつもそればっかりではつまりませんので、今日はシンプルで美味しい子母沢うどんを作ります。
このうどんの調理法のネタをどこで仕入れたか? それは日頃愛読している池波正太郎の『食卓の情景』からです。
なんでも池波氏と交流のあった子母沢寛氏が『味覚道楽』の中で書いてある調理法で、 池波氏が直接本人に聞いて作ってみたところ、これがまことにウマイということでした。 ならばオイもマネしてみようではありませんか。 まずは脂身の多い豚肉を用意します。
脂の多い豚肉といえば豚バラです。 薄切りを用意し、うどんになじむよう細切りにしてみました。
さてその細切り豚肉を、グラグラとたぎった熱湯に放り込みまして、しばらく煮ます。
煮ている豚肉入りの湯の中に、うどんをパラパラと投入するんです。 豚肉と、うどんを一緒に煮込むことに意味がある調理法なんです。
今回は乾麺を使用しましたが 、手作りうどんでもなんでも結構です。 でも「うどんの煮すぎ」はいけませんよ。
うどんを煮ていくうちに、豚の脂がうどんにトロリとからまるのです。
さてほどよく煮たうどんをつけダレでススルのですが、 池波さんは子母沢さん直伝の、醤油1、みりん1、昆布だし4 の割合で調合したもので食すのだそうです。
オイは今回、割り醤油で食らいましたが、なに別に生醤油だってかまいやしません。 めんつゆだってもちろん美味しいです。
食べ方も釜揚げ風に茹でた鍋をそのまま食卓に運んでみたり、 ぶっかけのように熱々を丼に盛って醤油を回しかけたり、脂が固まるかもしれませんがザーッと水でうどんと豚を洗ってからススってもよいのではないでしょうか。
今回作ったうどんのくだりを『味覚道楽』から引用します。
私はいろんなうどんの食べ方をする。 一つの鍋に適当に湯を入れ、 それへ豚肉を二百目位入れて、これをぐたぐた煮立てている中へ、うどんをさっと入れる。 玉が崩れてさらさらとなったところをつまみ上げて、 下地をつけて食べる。
うどんが芯まで熱くなっては駄目、やっと温か味が通ったか通らないか、うどんの玉が崩れたか崩れないかという、この加減がちょっと面倒だが、これを熱くしてある下地へつけて食べるのです。
うどんのほんの上皮へ、豚の脂がとろりとのったところ、その脂も芯へしみてはいけない。
ところでこの下地だが、昆布だしをどろどろと言ってもいい位十分にとって、これを四の割、醤油一、みりん一の割に拵える。 うどんの太打ちの時は少し煮つめ加減に、細い時はあっさりやる、 とか何んとか申しますが、これなんぞは下手好みで、食通の方々のお口には合わないかも知れません。
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06/06/15