一口に「カレー」といっても、
山ほど種類があるし、本格的に作るとなれば時間がいくらあっても足りないし・・・スパイスがどうのこうのワケワカランし。 もう市販のカレールーで作るカレーでイーし。
なんて日頃考えていた10年前のオイですが、本格的にカレーを作ると、ある日何の前ぶれもなく思い立ったのです。
週一回はカレーの日として定め研究を重ねているわけですが、形になりました。 というわけで、今回はひとまずスジカレーです。
「カレーを作れ」と言われまず真っ先に思い浮かぶのは玉ねぎです。 山ほど用意しみじん切りにしておきます。 分量としては1人前につき1個です。
鍋にオリーブオイルを引いて、タマネギを定説通り、キツネ色になるまで炒めます。 セッカチなオイは、まず強火でガンガン炒め、水気が飛んでチリチリと音が変わったところで中火に落とし、 20分間じっくり炒めております。 くれぐれも焦がさぬようご注意ください。
炒めるにつれキツネ色に変化し、挙句の果ては黒々としてきます。
水気が飛んできたら、極端に焦げやすくなるのでご注意を。 タマネギの甘味だけを残すのです。 炒め終えたらそっと安置しておきます。
今回はスジカレーです!
鍋に頃良く切り分けた牛スジ肉を入れ、水を張ってコトコト煮ていきます。
我が家ではチキンカレーや挽肉カレー等、その他のカレーを作る際にも牛スジを煮込んでスジスープを抽出し、それを活用しています(その際スジ本体は酒肴とします)。 鶏がらスープや カツオ出汁を合わせて用いると、いっそう奥深い味わいのスープがとれます。
煮る際に、長ネギやニンニク、ショウガ、月桂樹の葉(ローレル)等を一緒に加えておけば、風味良いスープがとれますよ。
スジを煮る際、一度煮立ったら水を全部捨て、また水を張りなおす、という臭み取りの処理もありますが、必須ではありませんのでそのまま煮ます。 スジ肉の脂身を取り除く、等下処理も一切行わないのは、その部位が旨いからです。
浮かんでくるアクだけは、コマメにすくいながら煮てまいります。 一時間もトロ火で煮れば、スジ肉はすっかり柔らかくなるでしょう。
スジ肉は煮汁から引き上げてのけておきます。 大事なメインの具ですからね。
残るスジスープは漉しておきます。 少し味見をしてみると、極上のスープが取れている事が判明します。
スジを煮込んでいる間にルーを作ります。
まず小麦粉をふるって鍋に入れます。 ダマになるのを防ぐんです。
バターを加え、弱火にて、木ベラを駆使しながら丹念に炒めます。
根気よく混ぜ続けていると、次第に褐色なルーへと変化していくでしょう。
小麦粉が十分炒められたら、ここでカレー粉を加え、練り合わせながらもう5分炒めてルーの出来上がりです。 うーんイイ香り。
仕上がりが気になってチョット味見したくなりますが、ルーは超高温ですので十分冷ましてからどうぞ。
完成したルーに、スジスープを少々流し入れ、練りながらモタつきを緩めておきます。
あとで煮る際に、ルーを溶かしやすくするために緩めるのです。
さて役者は出そろいました。 スジスープの中に炒めた玉ねぎ、カレールー、すじ肉を入れてひとつにし、 火にかけます。 弱火で20分も煮れば、カレーらしいトロミがつくでしょう。
煮込んでいるうちに、だんだんとカサが減っていきます。 その際鍋の横っちょに、カレーの汁が固まりつきますが、これはヘラでこすり取り、鍋に入れます。 これも重要な旨味なのです。
味付はウスターソースにトマトケチャップ、醤油にみりん、塩、砂糖を使えば難なく味はまとまります。
ハチミツや赤ワインを使えば一気にプロっぽい味になりますが、何ソースと砂糖、醤油だけでもキチンと味はまとまりますのでご安心を。
日本人である以上、醤油を多めに入れる事でホッと安心できる風味に仕上がるというのが持論です。
あとはチャツネとかですね。 ピンとした味にならない場合は、塩を多めに加えてみてください。 するとご飯となじむようになります。
ソースにケチャップ、醤油。 どの味を強くするかで大分雰囲気が違ってきますのでイロイロ試してみてください。
仕上げにカレー粉をもう一度加えて薫り高く仕上げます。 その他スパイス類もお好みで加えます。 ターメリックとかガラムマサラとかシナモン、ナツメグ等ですね。
以上スジカレーの作り方でした。
できることなら、前日までに以上の作業を終え、次の日に食べるのが最高です。 時間が一番のスパイスだと考えるからです。
次の日のカレーって前の日より明らかに美味しくなっていますよね。 その理由はというと、鍋の中で、それぞれの素材が持つ旨みを、交換し合うからなんです。
カレーの美味そうな香りは、匂い成分が蒸発して感じとれるものです。 カレーが冷めたら、香りが少なくなるのは、温かいうちに香り成分が蒸発してしまうからなんです。 なので温め直して食べる時には、カレー粉を少々追加投入すると良いです。
カレーを盛り付ける際、米とルーの割合をどのようにすると、美味しそうに見えるのでしょうか?
答えは、ご飯全体の5分の2までルーがかかっている状態です。 つまり、ご飯全体が盛り付けられている端から端までの長さと、 白いごはんが見えている部分の比が5:3であるものが、美味しそうに見えるのです。
ちなみにカレーを入れている器の縦横比も5:3のものが、安定して見えます。 また、ルーを別の器に入れる場合は、やっぱりその器の対比も5:3が良いんです。
これは黄金分割と呼ばれるキリシャ時代から数多くの建築美術に使われた比率で、 色んな形の比率、近似値がほぼ5:3になっており、人間の目にたいへん安定感があって、美しく見えるのであります。
05/11/20