なにより丁寧に抽出した「だし」の美しさには、思わず見とれてしまいます。 和食以外にも活用できますし、 毎朝のお味噌汁を丁寧にとったダシで作ってみてください。 心底感動する味がしますから。
ひとくちにダシといっても、一番出汁二番出汁と、用途によってありまして。 まずは一番ダシをとってみましょう。
昆布の表面に汚れがある場合は、固く絞ったフキンでさっと拭きます。 ダシが短時間でよく出るように、ハサミで切れ目を入れておいてもよいです。
昆布のうまみ成分はグルタミン酸ナトリウムです。
昆布をあらかじめ1時間ぐらい水につけておくと上等の出汁が作れます。 時間がない時は30分でもしょうがないです。 水はミネラルウォーターを使うとガラッと味が良くなります。 羅臼、利尻等、銘柄にこだわってみたりするのも楽しいです。
昆布を浸した水を中火にかけて、ぬるま湯程度の温度になったら弱火にします。 そして沸騰寸前に、昆布を取り除きます。
沸騰後も昆布を入れたままにしておくと、海草臭さや、ぬるぬるしたアルギン酸が出て味が落ちますので要注意です。
※火にかけた昆布を指でつまんでみて、スッと爪が入るぐらい柔らかくなっていたら取り出すサインだという話もあります。 60度で一時間煮出す、という説も。
※2 取り除いた昆布は冷凍保存しておいて、ある程度たまったら塩昆布を作ります。
昆布を取り去った湯に、少し差し水をして温度を下げ、鰹節を加えます。 アクが浮いてくるので丁寧に取り除きます。 1〜2分煮た後に消火して、しばらく安静に放置しておきます。
鰹節のうま味成分はイノシン酸ヒスチジン塩です。 昆布のグルタミン酸ナトリウムと合わさると相乗効果を発揮して旨味がグンとアップします。
※消化後、微量の塩を入れておくと、ダシガラにウマミ成分が吸着させるのを防ぐことができるそうです。 でも初めから塩を入れてしまうと逆に、ウマミ成分が外にでなくなるので要注意です。
※2一番出汁を作る目安として、水1リットルに鰹節およそ20グラムの割合で作ってみてください。
あとは鰹節を漉すと、一番出汁の出来上がり。 ザルの上にフキンをしいて、漉します。
一番だしの場合は、鰹節を絞って汁をしたたらせたりしません。
二番だしをとる場合は、昆布を煮出すところまでは同じで、一番だしをとった残りのかつお節に、 さらに新しいかつお節を足して(追い鰹)15分ぐらい煮出します。 その後漉して、若干絞ると出来上がりです。
鰹節だけでは旨味が足りない場合もあります。 そんな時は煮干しでダシをとりましょう。 詳しくはこちらへ→煮干しだしのとり方
実は昆布を浸しておくだけでも出汁になります。 詳しくはこちらへ→昆布だしのとり方
カツオの一番出汁に薄口醤油、酒、塩少々で味付けをしてオツユを作り、 別鍋でそうめんを少し硬めに茹でて、どんぶり内でおつゆとあわせます。 出汁の美味しさがよーくわかります。
※吸い物の場合は鰹節を入れてすぐに火を止めます。 味噌汁の場合は中火で2、3分煮出すとといです。 冷やしそうめんなどの麺つゆにする場合は、 沸騰した湯に鰹節を入れて、中火で7、8分煮出すとよいです。 フタはしません。
今回のように出汁をとり、味噌汁やチャンポンを作ったりしますが、そんなときに必ずやるのが味見です。 味をみないことにはどうしようもありません。 でも味見を何回も繰り返すと、「味の順応」という現象がおきまして、 舌の味覚細胞が味を感じにくくなるそうです。 だから味見を繰り返しているうちに、出来上がりの料理が塩辛くなったりするというわけです。 よって「味見は2回まで」とかいう風に決めておいたほうがよいかもしれません。
それはかつお節なんです。 なんせかんなで削って使うくらいですから。 この固さの秘密はカビ。 焙乾したかつお節につけたカビは、繁殖のために水分を必要とする ので、かつお節の内部から水分を引き出します。 そうして固くなるというわけです。 さらにカツオって脂があるのに出汁をとっても脂分なんて見当たりません。 何故か? 実はこれも、カビのなせる技なのです。 カビが酵素をだして、脂肪を分解してしまうのだそうな。 カビはすごいです。
更新日:23/04/24
公開日:05/11/20