海外旅行から帰ってきて一番にすするみそ汁、朝のみそ汁、母のみそ汁の味 ― 味噌汁には味を通り越した何かがあります。
みそ汁はダシが命です。 時間がない朝は、どうしても市販のダシの素を使いがちですが、10分だけでも早起きして、キチンとダシをとってみてください。 これだけでもう、 美味しいみそ汁は作れたも同然です。 煮干を使ってみたり、かつお節にしてみたり、日によって変えてみるとみそ汁作りが楽しくなります。
※日本のダシは思い立ったら吉日、即とれるところが魅力的です。 トリガラスープや豚骨スープはこうはいきません。 何時間、場合によっては何日もかかります。
味噌は様々な種類があり(味噌の種類→)、どれを使ってよいのかつい迷ってしまいますが、 とりあえずスーパーでどれかを買ってきて、作ってみればよいのです。 色んな味噌を試してみて、自分好みの味噌を見つけます。 その味噌の味が、その家のみそ汁の味になるのです。
時には白味噌に赤味噌をチョコット混ぜてみたり、数種類ブレンドして、我が家の味を作り出します(手前味噌だったりですね)。
オイが好きなみそ汁の具は、ワカメと豆腐です。 息子はジャガイモとワカメが好きです。 ヨメは大根が好きです。 娘はシジミが好きです。 婆ちゃんはナスをよく使っていました。 ネギだけのシンプルなみそ汁も良いものです。
味噌汁に使えない具というものはありません。 自分の好きな具を使えばイーんです!
ただ、具を合わせて使う場合、相性に注意しなければなりません。
大根、わかめ、ごぼう、もやし、ジャガイモ、さつまいも、ほうれん草、カブ、ぜんまい、ハンペン、サトイモ、ニラ、餅、タケノコ、ウド、あさり、しじみ、ちくわ、セリ、 みつば、シイタケ、エノキ、鶏肉、豚肉、ネギ、春菊、玉ねぎ、豆腐、ニンジン等
それでは早速味噌汁を作り始めます。 まずは出汁をとりましょう!
煮干を使う場合は、苦味をとり除くために内蔵を丁寧にとってから用います。 煮干を鍋に入れ、水を注いで20分ぐらい放置しておきます。
それから火にかけて、沸騰したらフタをせずに弱火にして5分ぐらい煮ます。 アクがでるのでこまめにすくいます。 あとはこして、ダシとダシガラにわけるとオッケーです。
※時間がある場合は、煮干を前日から水につけておくとよいダシが出ます。
鍋に水を入れて火にかけて、沸騰したらかつお節を入れます。 ひと煮たちさせてから火を止め、かつお節が沈むのを待ってからフキン等でこします。 これが一番だしです。
一番だしのダシガラに水を加え、10分ぐらい煮ると二番だしがとれます。 味噌汁には二番だしがうってつけです。
※アクをすくいましょう。
煮干、カツオ共に、昆布と合わせると、よりいっそう美味しいダシがとれます。 それでは各種味噌汁の作り方へと進みます。
※大根をあらかじめ下茹でし、さらに薄めた味噌汁で煮て下味をつけておくというテもあります。
※山椒を散らしてススルというテもあります。
※2 昔、赤沢閑甫という茶人がいて、その方の作ったしじみの味噌汁は、しじみの貝が皆同じ大きさにそろえてあったそうです。 心で食べさせる料理だったのです(味覚極楽より)。
揚げ玉をひとつかみ入れてトロミをつけます。 「ぎんさん」の娘、御年94歳 蟹江美根代さんの日課です。
※たまたま見たNHKの番組より。
味噌玉:味噌にネギのみじん切りと鰹節を練りこんで小玉を作り、持ち歩きます。 行き先でお湯をもらい、味噌玉を椀に入れてから熱湯を注ぎます。
これでどこでも旨い味噌汁が飲めます。
他にも鯛やブリなど魚のアラを使った味噌汁も美味しいものです。 そうそう納豆汁や冷やし汁は絶品ですよ!
お椀にひとつまみのミソとカツオダシの素を入れます。 ネギを加えたら熱湯を注ぎ、フタをして1分待つと、美味しい味噌汁になります。 鍋を使う必要もなし。 これぞザ・即席味噌汁です。
味噌を投入してからグラグラ煮たら、せっかくの香りが失われてしまいます。 美味しい味噌汁を作るには、手早く味噌を溶かし、沸騰直前に火を止めることが重要です。
味噌は塊のまま鍋に放り込んでもなかなか溶けてくれません。 みそこしに味噌を入れ、だし汁を注ぎながら溶かします。 豚汁等大量の味噌汁を作る場合は、味噌をボール等の器にとり、だし汁で徐々にゆるめてから鍋に入れます。
味噌汁はおいしいだけでなく、見た目も美しい。
熱い液体は、表面で空気によって冷やされて沈む。 そして底の温かい部分は上昇する。
椀の中に生じた対流は、夏の空に入道雲ができるプロセスを、再現しているかのようだ。
Harold McGee 博士
それでは幸せなみそ汁生活をお過ごしください!
08/12/16