おでん。 味噌汁と同じように各地方、 家庭で色んな食べ方のある料理です。 ウチでは濃口醤油を使い関東風に仕上げたり、薄口醤油を使って関西風にしてみたりと、 気分によって作り方を変えますが、どのように作ったとしても、それなりに美味しく仕上がります。
前置きはさておきおとりあえず作りはじめてみましょう。
まず大鍋に水2.5Lを張り、昆布10g、煮干50g、干し椎茸一個を入れて2時間置きます。 これを火にかけて、沸いたら昆布を引きあげて、 鰹節10gを入れたらアクをすくいながら10分煮 、こします。
これに醤油大さじ2、みりん小さじ1を加えたらアッサリおでんだしの完成です。
ぼうてん:3本 / まる天:3枚 / 半月天:3枚 / タコ天:8個 / 餅巾着:3つ / 厚揚げ:2角(400g) / 茹で卵:8個 / 里芋:5個 / 大根(煮ておく):一本分 / コンニャク:1袋
上記を加え、静かに一時間煮たのが最近作ったおでんです(5人分)。
まずはだし作りから。 市販の「おでんの素」を使っても十分美味しく作る事はできますが、自ら抽出した出汁がよりイケますし、味の調整も簡単です。
やはりおでんの基本は和風だしに醤油の味付けです。 カツオダシをとり、 醤油で味付けするんです。 上にも書きましたが、濃口醤油を使えば関東風、薄口だと関西風になりますし、みりんを加えて甘く作ったりもします。
※ウチの田舎で作るおでんは濃口醤油を使用し、非常に甘いです。
座右の書「食は広州にあり」の中で邱さんはこう書いておりました。
「どうも日本のおでん屋に入って後味が良かったためしがない。 これは材料が悪いのではなくて、それを煮るダシが悪いのだ。 おでんの具、それぞれの良さを活かす為には昆布や鰹のダシでは不十分で、 どうしても鶏ガラか豚の骨が必要だ」
と。 このご意見に賛成の方は、鶏のぶつ切りをおでんだしで煮ます。 骨付なので良いだしが抽出されます。
ウチも昔は上記「和風だし」に「鶏のブツ切り」を加えた「混合ダシ」でおでんを仕込んでおりましたが、最近はシンプルに和風だしだけで作っています。
※上記邱さんの「かつおだし不十分発言」に異論を唱えたのが梅崎春生さんでした。 梅崎さんは邱さんに「食は広州にあり」を愛読していると伝えたあと、こう付け加えたのです。
「あなたの書いていることに少し文句があるんです。 あなたはおでんのダシが昆布や鰹節だけじゃ物足りない、豚の骨や鶏のカラで試してみたらどうか、と書いたでしょう。 でも、おでんは豚の骨や鶏のガラのダシでは絶対に駄目です。 僕は絶対に反対だね」(邸飯店のメニューより)
おでんだしにパンチを要求する場合、牛スジの煮込み汁 を足してみてはいかがでしょう。
牛スジは「おでんの具」としてはよく知られておりますが、スープはあまり使われません。 1、2時間煮込んだ後、煮汁を和風だしと合わせるのです。
「和風だし+鶏だし」や「和風だし+牛スジだし」や「和風だし+鶏だし+牛スジだし」いいやそれともどれか単品のだしのみを使用しておでんを作る、 等あなたには沢山の道が開かれております。
抽出したダシに醤油で味をつけ、随時具を入れて煮ていきます。 煮えにくい食材から加えてまいります。 まずは定番の大根。 かつらむきして面取りしておくと煮崩れにくいです。
ちなみに大根をあらかじめ米のとぎ汁で煮ておくというテもあります。 弱火で30分も煮込めば十分で、大根を白く仕上げ、匂いを適度に抜く効果があります。 煮た後は、水に1、2時間浸しておきます。
ジャガイモという手もありますが、今回はサトイモの皮をむいて加えます。 ちなみに里芋という呼び名の由来は、里(人工的)にできるので里イモで、山(自然)にできるのは山イモであります。
煮すぎというぐらい煮て、次の日以降も煮続けて、黒づんでふた回り縮んだコンニャクが大好きなんです。
だしが染みこんだところに「ガブッ」と食らいついてアチチとなりたいのです。
自家製の蒲鉾だと最高です。
練り物に関しては一旦湯に通して油抜きしてから加えています。 さらにグダグダ煮てしまうのではなく出来上がり寸前に加え温める程度に煮るようにし、 それ自体の味を尊重する作り方をしています。
冷凍庫を物色していたところ、イイダコを見つけたのでこれも加えます。
上記の具材を煮込んでまいります。 おでんは決して煮たたせず100℃以下で煮ることにより、 具の味とツユの味が出たり入ったりしながら美味しくなっていくのです。
これを業界用語でいじめ煮と呼ぶそうです(東海林さだお氏の 丸かじりシリーズ による)。
約1時間煮込みます。 醤油、みりんを鍋の脇に置き、たまに味見しながら調整して好みの味に仕上げます。 冬ならばストーブの上でグツグツやるのもオススメです。
そうこうしているうちにおでんの完成です! 大根無くしておでんは語れません。 ダシが芯まで染みこんだ大根をかじるのは、至福のひと時です。
実は今回、おでんを楽しんだ後のお楽しみがありました。 掲示板にてハッチイさん に伝授された、スジコンオムレツです。 おでんのスジとコンニャクを具にオムレツを作るワケです。
スジとコンニャクは細かく切り刻んでおき、卵を溶いて手早く作り上げます(オムライス)。
煮詰めて味の濃くなったスジとコンニャクが、卵の甘味に包まれて良い感じです。
金沢は人口あたりのおでん屋が一番多い所です。
ズバリ「煮ふくめられる」からです。
おでんに限らず煮物に早く味を染みこませようとグラグラ煮ても、簡単に味は染みません。
材料に火が通ったらところでいったん火を止める。 すると温度が下がる際、味をタネが吸いこむので平均して味が染み、いっそう美味しくなるワケです。
さらに、おでんは色んな食材を入れますよね。 これがまた美味しさのヒケツで、素材に含まれるリン酸やカリウム塩等は、 塩味を和らげる「緩衝作用」があるんです。 材料が多いとつゆに対してこれらの成分が多くなるので、味に丸みが出るワケです。
年齢によりおでんの好みにも変化が現れます。
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05/11/20