今回はタケノコをまず掘り出すところから始めて、そのまま竹林の中で焼いて食べるという野性的な食べ方で、タケノコを楽しみます。
と、いうことで、タケノコを掘りにいってきました。 そしてなんとか2、3本のタケノコを見つけ出し、さあ持参の醤油と酒で焼いて食おう! と、 思ったのですが、さすがにそれは危険でした。 だって周囲には竹以外の木々や枯葉も沢山あるわけですし、万が一山火事でも起こしたら大変です。
「変人!? 山でタケノコを食べようとして山火事を起こした男、逮捕。」
なんて新聞ざたになると、家族がかわいそうでもありますし。 そんな言い訳をしながらタケノコ調理スタート。
1、さて、タケノコを掘り出してきました。 ちなみに同行していただいたそこの地主さんによると、孟宗竹という種類になるそうです。 実は美味しいのは破竹という竹らしいのですが。 せっかく見つけて掘り出したので、そんな贅沢なことは言ってられません。
2、ドライバーを用意します。
3、竹の子の皮はつけたまま、切り口の泥をきれいにとって、ドライバーで底に穴を開けます。 竹の子のてっぺんあたりまで突いて、柔らかい芯を抜くわけです。 くりぬく際に落ちる芯の破片ももったいないので全部とっておきましょう。 穴の大きさは親指2本分程度。
4、今開けた穴に、醤油を流し込みます。 醤油のかわりにヒシオやモロミを入れたり、酒を追加してもよいです。
5、醤油を流し込んだら、ニンジンか、ダイコンを穴にフィットするように削りだして、栓をします。
6、本来ならば、竹の子を掘り出したその現場で焚き火をして、竹の子を半分灰の中に突っ込んで焼くわけですが、それはできなかったので、 自宅で焼きます。 耐熱ガラスのコップなどに竹の子を逆さまに立てて、オーブンで焼きます。 檀さんもこのようにして焼いたりもするそうです。
7、しかし、実は我が家には耐熱ガラスのコップがなかったので、オーブントースターで焼くことにしました。
8、ほどよく焼けた頃を見計らって、火から取り出し、皮をむいて、切って、食べます。 新鮮であればあるほど美味しいので、やっぱりいつかは竹林で焼いて食いたいですね。
1、都会にお住まいで、掘り出したての竹の子が手に入らない場合は、若竹煮を作って食べましょう。 まずは竹の子のアク抜き。 米のトギ汁とヌカを入れた湯で、小一時間煮ます。
2、アク抜きが済んだらタケノコの皮をはいで、適当な大きさに切ります。
3、昆布とカツオで出し汁をとって、薄口醤油を足し、タケノコを投入。 煮ます。 タケノコの肌の色を残すように薄く煮るわけです。
4、タケノコが煮上がる少し前になったら、ワカメを入れ、しばらくすると、できあがり。
以上タケノコの竹林焼きでした。 ホクホクしていて美味しいんだけど、なんだか無念な気持ちがあるのは、やっぱり竹林で焼いて食っていないからです。 タケノコ掘りには久しぶり出向いたのですが、いたるところに大きな穴がボコボコ開いているのです。 何かと思えば、イノシシがタケノコを掘り起こして食った跡だというのですが、 その穴の大きいこと、ビックリです。 イノシシは相当タケノコが好きなのでしょう。
タケノコの呼吸量はホウレンソウの2倍、トマトの13倍、ジャガイモの46倍です。 成長する気満々のタケノコなのです。 でもその分エネルギーの消耗は激しく、タケノコに含まれる甘味成分「グルコース」は、一時間に1/10ずつ減ってゆき、うまみ成分のアミノ酸も減ります。 やっぱりもぎたてを食わないといけない理由はここにあるのです。 さらにえぐみは増していく一方で、タケノコを竹へと生長させる成分「チロシン」が、 えぐみ成分のホモゲンチヂン酸に変わってゆきます。
タケノコに含まれるその「チロシン」は、人間の脳にもよいそうです。
-朝日新聞[be]日曜版より-
タケノコは京都産のものが一番ウマイとされています。
白い粉の正体は、たけのこのえぐみ成分であるチロシンが溶け出して固まったもの。 食べても害はないが、旨くはないので取り除いたほうがよい。
とにかく筍はもぎたてを食べねばならないということはわかりましたが、こんな調理法もあるそうです。 その名も、タケノコの残酷焼き。 これは生えているたけのこの周りを掘り、 そこへおこした炭火を並べて煮るというものです。
素人庖丁記にこうあります。
そのころぼくは雑誌の編集者で檀一雄さんの担当だった。 檀さんとは、いろいろ各地を旅行したが、東北地方の山中でスズノコというやつを食べた。 直径1センチ足らずの細いタケノコで、笹のようなスズタケのタケノコだ。
檀さんは、細いスズノコを15、6本ひっこぬくと、ドライバーで節に穴を入れ、 そこへ醤油と日本酒を入れて木の枝で栓をし、枯れ葉の中で皮ごと焼いた。 缶ビールを飲んで待っているうちにスズノコは蒸し焼きになった。
と。 そのときの調理法を真似て、嵐山さんは以下の行動にでます。
大家の庭につながっている孟宗竹の根がのびてきて、畳の上から30センチほどあったから、半分、竹になりかかっていた。
折ったタケノコは箸でつついて節をくり除き、なかに酒と醤油を入れ、ニンジンのあまったので堅く栓をして、落葉で蒸し焼きにした。 庭に穴を掘り、 そこへ落葉を集めてタケノコを埋め、三時間ほど熱灰の中へ入れておいた。
〜中省略〜
柔らかくてほのかに甘い晩春の香りがした。
孟宗竹は成長しすぎていたそうです。 さらに嵐山さんは、いままで食べたタケノコで一番うまかったのは、檀さんが竹やぶで焼いてくれたスズノコだったとおっしゃいます。
團 伊玖磨 の『パイプのけむり』に、檀さんのエピソードがありました。 以下引用します。
或る年の春、亡くなった檀一雄さんと八丈島で暮らしていた時、美食家の檀さんは、 八丈島に竹林が無いのを悲しみ、最も美味い筍の食べ方は、鍬とドライヴァーと醤油と酒と燐寸と大根を下げて竹林に行き、 若い筍を先ず鍬で掘り、ドライヴァーで筍の芯を抜き、そこに醤油と酒を注ぎ込み、 大根で栓をして焚火で焼いて食べるのだ、と力み返り、八丈島には竹林が無くてこれが出来ないから、 九州へ行こう、九州の久留米の高良内界隈の竹林でこれをやろう、九州に行こう、と頻りと西の海の彼方を憧れるのだった。
筍の字は、竹と旬である。 旬は十日間の意味、生えて十日間だけが筍なのであり、十日を過ぎれば竹になるのだと中国で教えられた。 成る程と思う。
(2011/11/14追記)
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