モツスープで雑炊を作って食べます。 あわせて胡麻油で作る美味しいおかゆもご案内。
1、まずは牛か豚のタンやハツ、胃袋、腸なんかを買ってきましょう。 ちなみに今回はオール牛モツで作ります。 まずは丸腸、ミノ、ハツ。
2、さらに個人的に好きなセンマイを使います。 タンハツ鍋でおなじみのように、オカラと塩、酢で揉み洗いをして、 あらかじめ30分ぐらい煮こぼしておきます。
3、揉み洗いをしたモツを鍋に入れ、コトコトとろ火で2、3時間煮込んでいきます。 例のようにニンニク、ショウガ、ネギを加えておき、 塩も若干入れておきます。 アクはこまめにとっておきましょう。
4、イイ具合にモツを煮込んで、スープがとれました。 そうしたらそのスープを適量小鍋にとり、薄口醤油で味付けをします。
5、そしてスープに焦げメシを入れるのです。 炊飯器では焦げメシはできないので、 土鍋でご飯を炊くのがオススメです。
6、焦げメシをよくほぐしながらダイコンや、ニンジン、ニラ、白菜をほうり込みます。 もやしだけは大量に入れましょう。 元鍋からモツを取り出して入れたりして煮ながら、 頃合を見てせん切りのネギを加え、胡椒を振り、最後に胡麻油をたらしこむと出来上がり。
1、さて次は、草野心平流というゴマ油粥を作りましょう。 まずはコップ一杯のお米を鍋に入れます。 洗ったりせずそのまま入れます。
2、続いて、コップ一杯のゴマ油を鍋に入れます。
3、そしてコップ15杯の水を加える。
4、あとはひたすら2時間、とろ火でコトコト煮るだけです。 仕上げに塩少々で味付けして出来上がり。 檀さん曰く、出来そこないの心配(しんぺえ)はけっしてないそうです。
以上朝鮮雑炊・心平ガユでした。 おわかりのように、もつ鍋を作る小脇で簡単に出来てしまう料理です。 モツ鍋の楽しみといえば、やっぱりシメのチャンポン麺や雑炊なのですが、 今回の雑炊は、アリです。 前もって小鍋にスープをとっておけば、いつでも作ることができ、具もモツ鍋と同じようなものですから最後の仕上げにもってこいであります。 モツ鍋後の楽しみがふえて、非常に嬉しいかぎりです。
そして心平ガユ。 簡単極まりないしお粥の美味しさは必見です。 やっぱり「胡麻油と塩」の組み合わせには素晴らしいものがあります。 そりゃピェンゾーも美味しいわけです。 作る際の注意としては、ゴマ油の分量。 それぞれお好みもありそうなので、ちょっと胡麻油がキツイという方は、分量減らしてみたりして、研究してみましょう。 ※粥三種において、フタをして煮込む事と、その最中決して触れないという注釈がありましたのでご報告します。
お粥を作るには結構な時間が必要です。 煮ている間に焦げ付きやしないかと考えて、粥をかき混ぜながら炊いたりすると、べとついて糊のようになってしまいます。
原因は、でんぷんの分子が米粒から出てしまうからです。 又、塩をはじめから入れてしまうと、沸騰温度が高くなり、お粥が高温になってしまい柔らかくなりすぎます。 するとやっぱり、糊のようなお粥になってしまうので注意が必要です。
美味しく作るコツは、お粥を炊く際には厚手の鍋を使うこと! 鍋が厚いと、焦げ付く心配がありません。 また、金属の鍋よりも焼き物のほうがさらに良いものです。 土鍋なんかもってこいですね。 「ゆきひら」という土鍋の一種が、昔から使われたりします。
そして火加減。 はじめ沸騰して、吹き上がるころまでは、強火で一気に煮ます。 吹き上がったら火を弱め、とろ火でコトコト煮るのです。 火が強すぎて、 ふきこぼしてしまうと、そのドロドロには、旨味成分が沢山含まれているので、味を落とす結果になります。 それから最低4、50分は煮ないと、米に含まれているデンプンが、完全に煮えません。
まとめると、
となります。 ちなみにお粥の水加減は米に対して5倍以上で粥となります(一合雑炊二合粥)。
團 伊玖磨 の『パイプのけむり』にこのような記述がありました。
草野粥とは何かというと、詩人草野心平さんから教わった支那粥の一種である。
一昨年の夏、僕は、草野心平さんと、八丈島の僕の家で数日間を楽しく暮らした。 草野さんは、その時の島での滞在の印象を幾つかの詩にされたが、その日々、三度三度米飯をがつがつと食う僕を静かに観察して、 詩人は、美味しいお粥を作るから、明日の朝はそれを食べよう、と発議され、 翌朝は、朝早くから台所に籠もって、何かごとごとやって居られた末に、矢鱈に美味しいお粥を朝食に出して下さったのである。
「いいかね、お米を一、上等な胡麻油を一、水を十五の割合で鍋に入れる。 一人だったら、それぞれ、猪口に一杯宛と十五杯で良いだろう。 そうして、約二時間、とろ火でそれを煮るのです。 只それだけ。
はじめは、米粒はお湯の中で躍っているが、約二時間でそれが煮詰まってこの美味しいお粥となる。 最終段階で、食塩をぱらぱら、又、入れたければ、青い物を細かく刻んで少し入れても良いが、食塩だけにして、余り色々な物を入れぬ方が美味しいと思う」
作り方を習ってから、このお粥は、僕の家の大切な朝食となった。 そして、作り方を教えて下さった恩人の名を記念に冠して、このお粥を、草野粥と命名した。
また、『パイプのけむり』の巻末に檀さんの娘さんである檀ふみがこう書いておりました。
本書にも父との思い出が懐かしげに語られていて、久しぶりに父の笑い声を聞いたような気がした。 「草野粥」という、草野心平さん直伝のお粥の話も、嬉しかった。
実を言うと、同じお粥が我が家にも伝えられていて、我が家では「心平粥」と呼ばれているからである。 ひょっとして、草野さんが八丈島の團邸に遊んだその時に、父もいたのかもしれない。
2011/11/14追記
© 2005-2021 ぷちぐる.