フランス料理
数百におよぶソース、各種スパイス、豊富な食材、良質のワイン等を活かした料理が魅力。 フルコースといっても、何品出るという規定はない。 西洋料理の基本は、火加減と塩加減にある。
フランス人は他のどの国の人よりも自国の伝統的保存食品にこだわり続けてきた。 理由は単に、美味しいから。 フランスの郷土料理には保存食品が多い。
ハム、フォアグラ、パテ、トリュフ、マロングラッセ。 これらはフランスのどの家庭にも常備されている。 今でも郷土料理が大切にされ、保存食作りが盛んである。
その理由は彼らが効率よりも味を重んじ、自分たちが食べるものの品質と味をきちんと把握しておきたいからである。
イギリスではスーパーとの競争に負けて小売店は大通りから姿を消したが、フランスでは今でもデリカテッセン、パン屋、精肉店、菓子店といった専門小売店が顕在である。
※デリカテッセン:ハムやソーセージなど洋風調理済食品、またそれを売る店の事。
フランス料理・基本のソース
- ベシャメルソース:ホワイトルーと牛乳で作ったソース。
- ブルーテソース:だし汁とルーで作ったソース。
- ブリューヌソース:ブラウンルー、褐色のだし汁、野菜、香草を用いて作ったソース。
- トマトソース:トマトをベースに作ったソース。
- ビネグレットソース:酢とサラダ油で作った冷たいソース。
- マヨネーズソース:卵黄と酢、サラダ油で作った冷たいソース。
- ショーフロワーソース:ゼラチンを入れて作った冷製用のソース。
フランス料理の流れ
- オードブル:前菜。 並んだカトラリーの一番外側のナイフとフォークを使って食べる。 カナッペは手で食べてもよい。
- スープ、パン:パンは、スープが出てきてから食べ始めるのが正式。
- ポワソン:魚料理。
- ソルベ:口直しのシャーベット。
- アントレ:肉料理。
- サラードゥ:肉料理のあと、消化を助けるために食べるもの。
- フロマージュ:チーズ
- アントルメ:ケーキ等甘いデザート
- フリュイ:果物
- カフェ、プティフール:コーヒーと、手でつまめる菓子。
2〜6がメインコースで7〜10がデザート。 アミューズという、オードブル前のちょっとしたおつまみがある場合もある。
イタリア料理
フランス料理の基礎となった料理。 パスタ、
ピザ、リゾット、
ミネストローネなどがよく知られる。
イタリア料理の流れ
- グリッシーニ:細長い棒状のパン。 適当な長さに手で折って食べる。
- パン:イタリア人の主食はパン。 エクストラバージンオリーブオイルを皿に適量とり、パンにつけて食べる。 バルサミコ酢の場合も。
- アンティパスト:前菜のこと。
- プリモ・ピアット:第一の皿。 パスタ、リゾット、スープなど。
- セコンド・ピアット:第二の皿。 メインディッシュのこと。
- ヴェルドーラ:野菜料理のこと。 サラダ、温野菜など。
- フォルマッジョ:チーズのこと。
- ドルチェ:甘いデザートのこと。
- エスプレッソ:イタリアのコーヒー。
3〜6がメインコースで、7〜9がデザート。
中国料理
大きく分けて四大料理がある。 北鹹、東酸、西辣、南淡と言われ、北は塩辛い、東は酸っぱい、西は辛い、南はあっさりという意味。
中国では北が麺、南は飯が主食(北麺南飯)。
古代中国では、生魚や生肉は塩辛として保存された。 塩漬けにし、発酵させた。 魚の塩辛を鮨(き)、肉の塩辛を醢(かい)と言う。
中国では一日に二度しっかり食事をし、その合間に三回軽い食事をとる。 これを「二飯吃三小吃(アルファンチーサンシャオチー)という。
合間に食べる軽い食事の事が小吃。
中国西安にはイスラム教を信仰する回族が大勢いる。 清真とはイスラムの事で7世紀に入った。 漢民族の人が肉といえば豚肉の事だがイスラム系の人は羊。
北京料理(北方系)
寒い地方のため、体を温める鍋が多数あり、羊肉のしゃぶしゃぶ、北京ダック、水餃子などが知られる。 濃厚な味付けが特徴。 山東料理。
北京は米が採れないので粉料理が主。
上海料理(東方系)
港で知られる。 上海蟹、豚の角煮、小籠包などが有名。 江蘇料理。
四川料理(西方系)
冬の寒さが厳しい地方で、花椒、唐辛子などの香辛料をふんだんに用いる料理が多い。
麻婆豆腐や担々麺、
ホイコーロなどが知られる。
※百菜百味一菜一格:百の素材があれば百の調理法がある。 ひとつの料理にはひとつの品格があるという意。
広東料理(南方系)
山海に恵まれた地域で、フカヒレやツバメの巣など高級食材が用いられる。 酢豚等が有名。
中国料理コースの流れ
- 前菜:オードブル。 バンバンジー等。
- 大菜:主菜。 数品出る。
- 湯菜:スープ。
- 点心:主食とデザート。
- 水果、中国茶:果物の砂糖漬け等。
中国料理用語辞典
炒 = 炒める
- 生炒(ションチャオ):生の材料を短時間で炒める。
- 平炒(ガンチャオ):材料をじっくり、水分が蒸発するまで炒めること。
- 滑炒(ホワチャオ):油通ししてから、とろみをつけた調味料で炒めること。 使用頻度高。
- 小炒(シャオチャオ):下味をつけた材料を強火で炒め、さらにトロミをつけた調味料でいためること。
- 熟炒(シュウチャオ):塊のまま加熱した材料を切ってから短時間で炒める。 ホイコーロなど。
- 爆(バオ):火を通しておいた材料を、強火で瞬時に炒める。
炸 = 揚げる
- 清炸(チンヂャア):衣をつけず、油で揚げる。 高温の油。
- 酥炸(スウヂャア):衣をつけて揚げる。 いわゆる天ぷら。
- 油浸(ユウジン):高温の油に材料をいれ、火から離して余熱で揚げること。
- 油淋(ユウリン):油をまわし掛けながら揚げること。 ユーリンチイ等。
- 烹(ポン):材料をいちど揚げてから、短時間で加熱しつつ調味料をからめること。
- 溜(リュウ):材料を油で揚げてから、熱いあんをかけること。
焼 = 煮込む
- 紅焼(ホンシャオ):醤油味のスープでとろみをつけて煮込む。
- 平焼(ガンシャオ):煮汁がなくなるまで煮詰める。 四川料理特有。 エビチリなど。
- メン:ふたをした土鍋でじっくりと煮込むこと。
- ドウ:絶えず沸騰させ、グツグツに混むこと。 麻婆豆腐など。
- ホイ:たっぷりのスープでとろみをつけて煮る。
焼バリエーション
- 煎(ジェン):材料をひっくりかえして両面焼く。
- 貼(ティエ):片面のみを焼いて全体に火を通す。 ギョーザなど。
- タア:両面を煎り焼いてから、スープで煮込む。
- ヂュオ:新鮮な材料を短時間茹でる。
- パァ:材料の形をととのえながら煮込み、形をくずさずひっくりかえす。
- ジェイ:材料を揚げてから、蒸し煮して、さらにトロミをつけて炒める。
- カオ:下味をつけた肉を直火であぶり焼く。 ペキンダッグ等。
その他世界の料理
アメリカ料理
クラムチャウダー、サーロインステーキ、
ホットドッグ、ハンバーガー等。
イギリス料理
ローストビーフ、フィッシュアンドチップス、プディングなど。
スペイン料理
パエリヤ、ガスパチョ、シェリー酒など。
ドイツ料理
ソーセージ、ザワークラウト、タルタルステーキ、バームクーヘンなど。
ロシア料理
ボルシチ、ピロシキ、ビーフストロガノフ、羊肉の串焼きなど。
韓国料理
プルコギ、ビビンバ、
ナムル、クッパ、チヂミ、
サムゲタンなど。
エスニック料理
東南アジア、中東、中南米の料理です。 トムヤムクン、ゴイクン、タンドリーチキン、クスクス、タコスなど。
トルコ料理
シシ・カバブ、ドネル・ケバブ、ドルマ(サルマ)、ヨーグルトはトルコ語のヨウルト(撹拌する)に由来する。
食物禁忌
特定の飲食物を忌み嫌い、飲み食いを禁止、制限することで、動物性食品が多いです。
ユダヤ教、イスラム教、ヒンズー教には食物禁忌があり、厳しく制限されています。
宗教による食物禁忌一覧
- ユダヤ教:豚肉、らくだ肉、うろことひれのない魚類(たこ、えび、うなぎ等)、血液、一度の食事で肉と乳製品を一緒に食べてはいけない。
- イスラム教:血液、豚肉、アルコール、異教徒が殺した動物。
- ヒンズー教:牛肉
世界四大料理圏
- 中国料理圏:豚肉が主材料で醤、油脂による多様な加熱料理と食品保存の技術に特徴を持つ。
- インド料理圏:カレー、ギーの利用に特色を持ち、羊、鶏を主原料とする。
- ペルシア・アラビア料理圏:羊を主材料とし、スパイスを多用する。
- ヨーロッパ料理圏:パンを主食とし、ハム・ソーセージ等肉料理に特色がある。
石毛直道『世界の食事文化』より
世界各国の料理のツボ
- 世界三大料理と言われるのが中国料理、フランス料理、トルコ料理。
- 『調理師速習レッスン』を参考にしました。
- 西洋の料理は、材料が悪いから発達してきた、という面もある。 昔は新鮮な食材が手に入らなかったから、スパイスを使ったり、ワインを使ったり、複雑な風味のソースが必要になった。 これが西洋料理発展の歴史。
- ポール・ボキューズが市場の料理という考えを提案した。 これはレストランの献立を市場に買い出しに行ってから決める、というもの。 これがヌーベル・キュイジーヌ(新フランス料理)につながった。 つまり新鮮な素材にサッと火を通し、軽いソースをかける、というもの。
- フランス人のシェフは、マリアージュという言葉をよく使う。 結婚する、といいう意味で、どんな材料同士を結婚させるのかという話。 油っこいものには酸味を、みたいな。
おさらい
世界の料理を知り、食の知識を深める。
11/11/30