日本は多種多様の海産物に恵まれた幸せな国です。
魚ってなんでこんなに種類が多いんだろう! 風味や食感もそれぞれ異なるし。 と、 海の育む天然資源、魚(魚介類)を随時掲載していきたいと思います。
アブラコ、シジュウ、アブラメ等地方によって呼び名がある。
岩陰に潜んでじっとしている魚。 唐揚げが旨い。
トビウオ科に属する魚で、全長約三〇センチメートル。 体は細長く、背方は青灰色、腹方は白色。 胸びれが翼状に大きくのびて海面上を飛ぶ。 尾びれは二またに分かれ、下葉の方が長く、滑空の際にかじの役目をする。
飛ぶ際は胸ビレで鳥のように羽ばたくのではなく広げたままでグライダーのように滑空する。
時速60キロ、飛行距離は100〜300メートル、海面からの高さは2メートル〜数メートルといわれる。 夏に多くとれる。 本州中部以南の暖海に分布。 とびいお・とびのうお・ほんとび・あご・つばめうお・つばくろうお・ひいご・とびお・とんぼうおとも呼び、旬は春から夏。
遠くまで飛ぶので縁起の良い魚と言われている。
トビウオの脂肪は0.5%。
フサカサゴ科。 脂が多い。
体が赤い事から古く赤魚と呼ばれていた。 あこう、はその転化。
アジが美味しいのはイノシン酸が多いから。 鯛やヒラメよりも豊富に含まれ、だから旨味にコクがある。
煮付けると身崩れしやすく、塩焼きにすると身離れが悪いのはタンパク質の性質によるもの。 コラーゲンが少ないためそうなる。
「アジは刺身よりも干物に限る」という声も。
体側の尾から頭にかけてゼンゴ(竹莢)という尖った特別なウロコを持つ。
産卵期は春から夏で、旬は夏。 鮮度が落ちるとヌメリが皮にしみ、臭みが出る。 「はかり目」という呼び名もある。 体長20センチぐらいを「めそっこ」と呼ぶ。 成長すると、オスは50センチ、メスは90センチになる。
海うなぎとも。
マアナゴ、ギンアナゴ、ゴテンアナゴ、クロアナゴ、キリアナゴなど種類が多い。
アカアマダイ、シロアマダイ、キアマダイなど種類がある。 アカアマダイの1キロ前後が旨いといわれる。 関西では甘鯛をグジと呼び、京都では最高の食材のひとつとされている。 冬が美味。
若狭湾の塩したものは特に珍重されている。
大阪ではグズナ。 鹿児島ではカワスギ。
頭をこんがり焼いて、熱燗を注いだグジ酒も喜ばれる。
桜えびの仲間。 鯨の重要な食料。 あみを洗って水気を切り、三割の塩を入れて漬けられる。 しばらくおいて、焼酎を入れたり、米麹を加えたりもする。 お茶漬けや、貝殻に乗せて焼いて食べたりもされる。
アユ科の魚はこの一種だけで、一科一属一種の魚。 関東以西の本州、四国、九州に多く生息。 北海道、東北は少ない。
旬は夏。 アユ科の淡水魚で、北海道南部以南の河川に生息し、古来より、食用として珍重される。 体は細長く、二〇〜三〇センチメートルに達す。
背面は緑褐色で腹面は白く、背鰭(せびれ)の後方に小さな脂鰭(あぶらびれ)があり、鰓蓋(えらぶた)の後方に黄色斑がある。 うろこは小さい。
秋、川を下って中流域の砂利底に卵を産み、稚魚はいったん海へ下り、早春に五〜七センチメートルに成長して再び川をさかのぼる。
ふつう寿命は一年で、海中ではプランクトンを、川へ入ってからははじめ水生昆虫や甲殻類を食べるが、やがて初夏の頃、付着藻類を食べようになる。 これが鮎の香味と関係してくる。
成魚になり、下流の産卵場へ下るものを「落ち鮎」という。 この頃の鮎は脂が乗り旨い。
琵琶湖と池田湖には小型の鮎が生息している。 成魚でも10センチ程なので、小鮎とよぶ。 小鮎の幼魚を氷魚といい、天ぷらにすると美味。
うかい、友釣り、どぶ釣りなど、わが国独特の漁法がある。
三、四月頃の若アユは、小さな犬歯状の歯を持ち、昆虫や小さな甲殻類をエサにしているが、六月頃になると動物性のエサを止め、犬歯状の歯も退化し、櫛形の歯が揃うようになり、川底の石についている珪藻や藍藻を食べるようになる。 これが香魚たる特有の薫りの由来。
海を知らず一生を淡水で暮らす鮎がいる。 海から川を経て湖に侵入した後地殻変動が起き水路が閉ざされ、淡水で生活するよう適応した鮎になる。 湖産鮎は、山梨県西湖、本栖湖、鹿児島県池田湖、鰻池などに生息するが、いちばん豊富なのは琵琶湖。
旬は冬。 体にはウロコがなく、肉の80%は水分。 海底で主に生活しており、目と口の間にある擬似皮弁をふるわせて、近寄ってくる獲物を巧みにとらえる。 英語名の「anglerfish」 は「釣りをする魚」の意味。 肝臓は「海のフォアグラ」と呼ばれる。
あんこう鍋にする場合、あんこうと野菜を半々の割合で用意し、あんこうの泥臭みを取るため一度熱湯をくぐらせてから水にさらし、煮るようにする。
野菜はみつば、うど、さやえんどう、ぎんなん、生シイタケ、焼き豆腐、柚子等。
割下は出汁五杯に対し醤油一〜一杯半、同じ容器でみりん四分目、砂糖六分目を加える。
シメはご飯と薬味、卵を入れて雑炊に。
全長20センチ程度のかわいいタコ。 三月頃、8ミリの卵を50個ほど産卵する。 その卵を持つメスを食べると、胴の中に飯粒に似た卵がびっしり詰まっているので飯蛸の名がついた。
イカ網(頭足類)ツツイカ目とコウイカ目の軟体動物の総称。 漢字では烏賊と書くが、これは「イカが死んだフリをして海面を漂っていると、烏(カラス)が飛んできてついばもうとして逆にからめられた」 ことに由来するという。
漁獲量はスルメイカが一番多い。 イカは利用率が高い。 およそ75%ほど。 内臓も含めると90%近くになる。 ちなみにアジは、三枚におろすと55%程度。
栄養的には脂肪が少なく、タンパク質が多い。 コレステロールが多いと言われてきたが、最近ではコレステロールを下げる成分「タウリン」が多く含まれるといわれる。
絵の具のセピア色は、イカスミから作る。
イカスミにはリゾチームという抗菌物質が含まれている。 イカの胴を焼くと丸まってしまうのは、身と皮のタンパク質の性質の違いによるもの。 切れ目を入れると丸まらない。
イカの種類は大きく3つに分けられる。
コイ科。 東北ではハヤ、と呼ばれる。 淡水または海水に生息し、すばしっこい魚。
いさき・いさぎ・伊佐木・鶏魚とも呼ぶ魚で、イサキ科に属します。 体は若干細長く、全長四〇センチメートルに達します。体は褐色で、本州中部以南の沿岸に生息。 脂がのってくる春から夏にかけてが美味で、刺身、塩焼、煮付け、フライ、ムニエルなんかでもイケます。
実は長崎県が日本一の漁獲量を誇る魚でもあります。
ハタ科の魚で成長すると体長2メートル、体重250キロに達する。
ニベ科の魚。 耳石が発達しているので石持(イシモチ)という名がついた。別名グチ。 かまぼこの原料として知られる。
大阪ではグチやシラグチ、その他ハダカイシモチ、アブライシモチなど呼び名がある。 浮き袋を使って「グー」と鳴く。
モチウオ、シズ、エボダイ、ウボゼ、バカなど呼び名がある。
ニシン科の魚、マイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシなどの総称。
いわしの語源は「弱し」のなまったものとされる。
エサはプランクトン。 鮮度の良いものはウロコがあるので水の中にて指で落とす。
煮干しはイワシの稚魚を煮て乾燥させたもの。 紫式部は鰯党だった。 煮付ける際に梅干を用いるのは、臭みの成分トリメチルアミンを梅のクエン酸で中和させるため。
イワシを江戸時代むらさき、と呼ぶこともあった。
イワシ雲は秋の訪れを告げる。 この雲が空に現れるとイワシが大漁する、と漁師の間では伝えられている。 海上にカモメの群れがあれば、大抵その下にはイワシが群泳している。
高地の谷川の渓流、岩穴に棲む。 用心深い魚で、音を立てたり人影が見えると岩陰に隠れてしまう。
別名アマゴ、アメマス。
1〜3月が旬。
ウナギ目には600種近くの魚がおり、アナゴやウツボもふくめて約20科に分類されている。 そのうちウナギは世界でおよそ19種ほど知られている。
なんでウナギの背中は黒いのか? それはUVケアの為。 紫外線から体を守るため、蛍光物質を含んだメラニン色素を出して、背中を黒く染める。
ウナギの脂肪は18%。
ワシントン条約締約国会議の決定でウナギの稚魚の輸出が規制されることになるらしい。
「ニホンウナギ」の親魚が太平洋マリアナ諸島沖の産卵海域の深海ではじめて捕獲された。 この海域ではこれまで誕生直後の幼生しか見つかっていなかった。
謎に包まれたウナギの回遊ルートや産卵条件の解明につながると期待されている(2008/09/23朝日新聞より)。
日本から真南に2000キロ。 周りに島ひとつ見えないマリアナ海が、ウナギのふるさとだ。
日本中のウナギはここに来て卵を産む。 生まれた子は、海流に流されつつ、はるばる日本にやってくる。
「日本ウナギはどこからやってくるのか?」1930年から調査がはじまり、場所が突き止められたのはつい最近のこと。
調査法は、まずレプトセファルスという、ウナギの赤ちゃんを探す事からはじまる。 レプトセファルスは透明で、柳の葉のような形をしており海中で沈みにくく、海流に乗りやすい形状をしている。
レプトセファルスの身体には、一日に一本ずつ増える年輪のようなものがあり、この輪を数えれば、このレプトセファルスが生後何日経過しているのかがわかる。
仮に生後二十日のものが獲れたら、その場所から二十日分の距離を逆算して海流をさかのぼれば、生んだ場所にたどりつけるはず。 この目論見は見事当たった。 しかも産卵は新月前後に集中しているという。
料理に向くのは、100〜150グラムのもので、養殖モノにおいては、大きいものほど味が落ちる。 天然ものでは、産卵の為海に向かうくだり鰻の時期、すなわち秋が旬。 ちなみに鰻の血には神経毒があるので生食はしない。
1970年代にはすでに、高級品となっていた。
※画像はウスバハギのものです。 onioniさんよりご指摘いただきました。 ありがとうございました。
胎生魚。 島根あたりではこの魚を食べると逆子を生むと言い伝えられ妊婦に食べさせなかったという。
サバ科。 体は紡錘形で全長50〜80センチ程度。 背は暗い青色で腹は銀白色。 黒色の縦帯は死後現われる。 熱帯の外洋に分布し、日本近海では北海道沖から南洋諸水域にかけてとれる。 刺身、鰹節、なまり節の材料となり、 内臓は塩辛(酒盗)にする。昔江戸では五月初旬のものを初鰹として喜んだ。
初ガツオは陰暦四月朔日以後七日までの間に関東沖で獲れたカツオを指し、江戸の中期に最も人気が高く、一尾の価格が二両もするほどであったという。
かつおの刺身の薬味には辛子が旨い。
日本列島を南方から潮に乗って北上していくカツオが初鰹。 北海道にさしかかったあたりでUターンし、来たときよりもずっと沖合いを南下していくものが戻り鰹。 戻り鰹のほうが脂がのっていて旨い、という話もある。 おまけに旬の評判にならないから安い。
赤カマス、青カマス、大和カマスの種があるが、一般に見られるのは赤カマス。 秋が旬で「秋カマスは嫁に食わすな」ということわざがあるほど。
春から夏にかけてはアオカマス、秋から初冬にかけてはアカカマスが獲れる。 いずれもその頃が旬となる。
天ぷら、フライ、カマボコの原料にもなる。
ホウボウ科の硬骨魚。 胸ビレに3本の遊離条があり、餌を探すのに役立てる。 冬が旬。 長崎ではガッツと呼ぶ。
ホウボウとの見分け方は、背中に斑紋が無い事。
カレイ科の硬骨魚の総称。 砂底に生息する。 種類が多い。 朝鮮半島近海で多く獲れることから「からえい」と呼ばれていたのがなまってカレイとなった。 旬は冬、マコガレイ(城下ガレイ)は夏。 石ガレイも夏が美味。
ヤナギムシガレイは一夜干しに。 星鰈等は刺身に。
カワハギ科。 全長約30センチに達す。 体系は扁平で菱形に近い。 口は小さくとがり、 目の上方に第一背びれである一本のとげがあり腹びれはない。 口は小さいが、丈夫な歯をもち、 貝類、海藻をむしりとって食べる。 又、口から水鉄砲のように水を強くふきだして砂底をほり、 甲殻類やゴカイなどを食べたりもする。 体色は種々で皮膚は厚く表面は粗雑。 本州中部以南から東シナ海にかけて分布。 夏、最も美味とされる。 皮をむかないと料理できないところから命名。
旬は夏。 キス科の海水魚の1種で、世界中で31種が知られているが、日本に生息しているのは4種類。 白ギスと青ギスがある。 肉は白身で淡泊であり、テンプラや塩焼き、新鮮なものは刺身で食される。 遊漁対象としても知られ、サーフフィッシングのメインターゲットである。
キスは昼間しか釣れないのは、夜になると砂にもぐって寝てしまうから。 春先は浅い所で、冬場は深いところに生息する。
チョウザメの卵を2、3パーセントの塩で塩漬けにしたもの。 ちなみに鮭の卵の塩漬けがイクラで、鮭の未成熟卵の塩漬けが筋子、スケソウダラの卵の塩漬けをタラコという。
日本各地でチョウザメの養殖が行われており、国産キャビアもよく目にする。
キャビアにはベルーガ、オセトラ、セブルーガ等種類があり、一番美味なのがベルーガである。 カペリン、ランプフィッシュ等の魚卵を黒く染めたニセキャビアも存在する。
黒パンに乗せて食べたり、クレープ風の皮で包んで食べる。
体は細長くて扁平。 冬場海藻に産卵し、それをオスは体で巻いて保護する。
天ぷらダネに最高。 夏場は極端に味が落ちる。
現在日本国内に出回るのは、資源調査の為に捕獲された、ミンク鯨のみ。 小型の鯨で、10メートル以下。
佐賀の松浦漬けは、ナンコツの粕漬け。
チヌ、チンとも。 大阪湾の古名、茅渟(ちぬ)でよく獲れたためこの名がついた。 関西、九州で人気。
旬は冬〜春。
養殖は江戸時代より行われ、平安、室町時代は高級魚だった。
現在は群馬、長野、宮崎で盛んに養殖がおこなわれている。
日本や中国で古来より縁起の良い魚とされる。
東京や大阪では夏の魚として重宝される。 ホンコチ、マゴチをはじめ、相当種類があり、それらをまとめてメゴチと呼ぶ。
スズキ目ハゼ科の魚。 ヨシノボリ。 左右の腹ビレは合わさって吸盤を作る。
骨が多すぎて消費者に好かれず、東京湾に捨てられていた事もあったという。 江戸前の鮨ダネに欠かせないのがコノシロの幼魚であるシンコ。 酢じめで用いられるが、どうして酢で〆ると身が白くなるかといえば、 タンパク質が酸で凝固するから。
コノシロは江戸時代嫌われていた。 コノシロを焼く→この城を焼く。 切腹の時にも食べられた。
15センチ以上のものをコノシロ、10センチ程度のをコハダ、それ以下のをシンコと呼ぶ。 関西では中小型をツナシと呼ぶ。
海で生活し、産卵期になると河をさかのぼる。 自分の生まれた河へ戻るので、母川回帰という。
卵はイクラとして楽しまれるが、九月以降に獲れた卵巣を使うと膜が固く又、その膜が口中に残る。
岩手県における鮭の漁獲量は2010年と比べ2021年では1/46に減少している。
サバ科の魚で全長約50センチに達する。 群れをなして回游し小魚や小形の海老、蟹(かに)を食べる。 日本各地の沿岸に分布。 すし種、塩焼きなどにするほか、干物や缶詰にも使われる。 マサバは秋が旬で、秋サバとも呼ばれる。 通年品質が安定しているゴマサバはマサバの味が落ちる時期に重宝される。 ゴマサバの旬は夏。
日本近海ではマサバとゴマサバがとれる。 ゴマサバは体形、外観ともにマサバと似るが、体高がやや低く腹面に多くの小黒点がある。 ノルウェーから輸入されるのはタイセイヨウサバ。
サバであたったという話をたまに耳にするがその理由としては次の事が考えられる。 ひとつはサバアレルギー。 これは体質の問題なので、新鮮なサバでもあたる。
次にヒスタミン中毒。 サバの血合には「ヒスチジン」という物質が多く含まれており、サバの死後細菌の作用でヒスタミンに変質する。 最後はアニサキスなどの寄生虫によるもの。 一番の対策は加熱すること。
蕎麦屋の出汁は、胡麻鯖から造った鯖節がよく用いられる。
鯖は、円錐状の歯が上下で60本ずつ生えている。 これから狭歯(さば)の名がついたともいわれる。
島根県はサバの全国有数の消費地。
細長いウキのような体をしている魚。 産卵前の早春が美味で、昆布〆、一夜干し、刺身等で食す。
下あごの先が赤いほど新鮮。 東京では大型のサヨリをカンヌキ、とも呼ぶ。 丸干しも美味。
サヨリの腹腔膜は黒い。 この事から、容姿端麗で腹黒い女の事を「細魚のような女性」と言ったりもする。
1〜3月が旬。
和歌山ではヤマキリ、土浦ではヨド、サイレンボウ。
本鰆、平鰆、沖鰆等分類されるが、通常鰆といえば本鰆。 春によく獲れるが、旬は冬。 白身でクセがない。
魚体が小さいものをサゴチ、中程度のものをナギ、大きいものをサワラと呼ぶ。
鮮度の良いものは刺身で食す。 その他調理には塩焼き、西京漬け、粕漬け等に用いられる。 卵巣に塩をして干したものは、ボラのものと同じくカラスミと呼ばれ、 実は鰆のもののほうが古くからあったと言われる。
旬は秋。 旬の少し前の、脂がたっぷり乗る前のものは刺身にすると美味。 脂が乗りすぎているものを刺身にする場合は、酢じめにするとサッパリする。 エサは動物性プランクトン。
水揚げ時、網の中で互いにこすれ合うため、流通時にはウロコがほとんど無い。 昔は釣っていたサンマも、現在は網で大量に獲るため、網の中でウロコが落ちる。 そのウロコがサンマの口に入り、消化管にたまるので、内臓ごと食べるとウロコが口に当たってしまうワケ。
サンマの脂肪は14%。
関西ではサイラ、とも呼ばれる。
宮城県におけるサンマの漁獲量は2010年と比べ2021年は1/249に減少している。
夏が旬。 沖で獲れる。 体長1メートル、体重8キロに成長する。 トオヒャク、トオヤク、マンビキ、マビキ、クマビキ、ネコヅラ、メンカブリ等多様な呼び名がある。
舌平目、舌鮃。 関西ではゲタ。 体が扁平で、牛の舌と似るところからこの名がついた。 クロウシノシタ、イヌノシタ、ゲンチョ、アカシタビラメ等のウシノシタ科の魚。 アカシタビラメが美味。
フランスでは日本の鯛に匹敵するほどこの魚を尊重。
熊本天草地方では白魚の踊り食いとして食される。 まず鍋に豆腐を入れたら出汁を張り、白魚を入れて泳がせる。 火にかけて熱くなってくると、白魚は驚いで豆腐の中に身を隠し、そのまま煮えてしまうという食べ方。
白魚には二種類あり、シラウオとシロウオ(素魚)は外観も習性も似るが別のもの。 味はシロウオのほうが旨い。 しかし死ぬと味が極端に落ちるので踊り食いの対象となる。 一方シラウオは死んでも味がそう落ちない。 そこで吸い物、卵とじ等に調理される。
しゃっぱ(しゃこ)は有明海等の潟に三寸ほど潜って棲息し、出入り口は2つある。 穴の水は澄んでいる。 夜になると穴から出てくる。
カニとエビを合わせたような風味を持つ。
英語ではマンティス・クラブ。
季節により海、川を行き来する。 旬は産卵前の夏。
稚魚を「せいご」、少し成長したものを「ふっこ」といい、成育につれて呼称が異なるのでボラ、ブリなどとともに出世魚と呼ばれている。
セイゴ、フッコの時代は川へ上るが、スズキになると川へは入らず河口付近止まりとなる。 島根県付近で獲れるスズキは昔から有名。
タイ科に属する海魚の総称。 1年で体長10〜15cm、2年で15〜25cm、3年で20〜30cm、4年で25〜35cmになる。 鱗には年輪があり、それにより年齢が推定できる。 体長1mにも達すものもいるが、そのような個体は20歳以上と推定される。 容姿、味ともに優れているので日本料理では魚の王様として重用される。 「めでたい」に通じることから古来 から祝いの料理に供する。 3〜6月の産卵期の鯛は美味なためサクラダイとよばれ重宝される。
平常は水深30〜150メートルの岩礁地帯に住み、寒中は深海に、春頃になると産卵のため浅瀬に近づく。 群れない。
鯛は生まれながらに赤いわけではない。 餌となるエビ、カニのもつアスタキサンチンというカロテン類により赤い色になる。 養殖の鯛はいけすで育てられ、そのいけすは浅いために紫外線を 浴びる。 だから養殖モノの鯛は黒っぽい。 最近ではいけすをカバーで覆うなどの対策をしている。
明石の鯛は、エサのジャコエビをいつも十分に食べているから旨いといわれる。 内海の鯛は、陸に近いのでおのずと人間の食べ残りが流れ込むので味が良い、とも言われる。
鯛の脂肪は1.5%。
市場では体調10センチ程度の鯛をベン。 15センチぐらいをカスゴ、1キロ程度のものをマコ、2キロ前後を中ダイ、それ以上を大ダイと呼ぶ。
夏が旬。 全長25センチ。 シャカ、ベント、ホタとも呼ぶ。
八本の足を持つ。 マダコ、ミズダコ、イイダコ等日本近海に約30種が生息している。
国内で消費される八割のタコは西アフリカからの輸入による。
「デビルフィッシュ」と呼ばれ欧米人には嫌われているが、ポルトガル、イタリア、スペイン、ロシアでは好んで食べられている。
飢えると同族も食べる事もあり、時折足の欠損した個体を見るが、再生力が強いのでしばらくすると回復する。
春から夏に産卵。 旬は夏。
太刀に似る事に由来する名。 群れで行動する。 新鮮なものは刺身で。 唐揚げや煮つけ、カマボコの原料ともなる。
主に西日本ではタチウオと呼ぶが、東京周辺ではタチ、タチノウオと呼ばれる。 福島県ではサワベル。
ウロコが無い。 体表の銀色はグアニン質というもので、これを集めセルロイドを溶かした液と混ぜ、ガラス玉に塗ったものが人工真珠。
魚偏に雪で鱈と読むように、雪の振る頃になると日本海、北海道で獲れはじめる。 寒流の深海に生息し、大きな口で食べれそうなものは何でも口にする。 マダラ、スケトウダラ等。
生のたらこや、塩漬けのたらこは、マダラのものではなく、スケトウダラの卵巣。
白子のことを、菊子ともいう。
鱈腹食べる、という言葉通りの大食漢。
背ビレが三つに分かれており下あごにヒゲがある。
淡水性のエビ。 佃煮、煮付けなど美味。 分類が難しい。
ウニやヒトデと同じく棘皮動物の一種。
マナマコは体色の違いからアカナマコ(アカコ)、アオコ、クロコに分けられる。 赤ナマコは外海の岩場に生息しており、青ナマコ、黒ナマコは主に内湾の砂泥に生息。
昔は北海道沿岸でよくとれた。 身欠きニシンは米のとぎ汁や糠を入れた水で戻す。
ニシン本体よりもカズノコと呼ばれる卵巣のほうが高値で、祝い事に用いられる。
子持ち昆布は、昆布の上にニシンの卵が層になっているもので、酒の肴になる。 京都には鰊ソバがある。
春告魚とも呼ばれ、早春から五月頃までが旬。
海水魚のハコフグ科の1種。 体は細長い四角柱形で、胴体の横断面は釣鐘形をしている。 口の周辺と尾部を除き、体は固いウロコで作られた甲板に覆われている。 甲板の表面には、亀甲(きっこう)模様がある。
甲板があるため、普通の魚のように体をくねらせて泳ぐことができないので、鰭だけを用いて推進する。 沿岸近くの岩礁域に生息し、1〜3尾で泳いでいる。 一見ゆっくりとした動作だが、 本気になると結構早く泳ぐことができる。 その他フグ類とは違い、血液や内臓に毒はないが、皮下に毒腺をもち、ストレスをあたえられるとパフトキシンとよばれる毒を放出する。 パフトキシンは赤血球を破壊する毒で、小さなバケツの中ではいっしょにいれた他の魚を殺せる程度に強いが、一度放出するとしばらくは補給されない。 産卵期は夏。 食用。
東北の日本海沿岸で獲れる冬を代表する魚。 鰰。 カミナリウオと呼ばれるのは雷の鳴る頃よく獲れるから。
しょっつるの原料。 卵が美味しい。
温暖域に生息する。 水深50メートルぐらいの砂泥に住む。 体長1メートルほどのもので約1.5キログラム。 より褐色もののほうが、脂がのっていて旨い。
梅雨が明けると美味しさを増す。 京料理からハモとグジを除いたら意味が無くなる、とも言われている。
江戸前天ぷらのタネとして、メゴチ、シロギスとならんで重宝される。 淡水産、海水産を合わせると110種を数える。 食用となるのは汽水域にいるマハゼ。
釣れやすく秋がシーズン(バカでも釣れると言われる)。 刺身、天ぷら、唐揚げ、煮付けて食べられる。
佐賀の有明海にはハゼ科のムツゴロウが生息。 旬は夏で、脂があり旨い。 能登のゴリもハゼ科で、佃煮に用いる。
日本産でおよそ100種、世界には600にも及ぶ種類がいる。
明治天皇の好物であったところから「鰉」の字があてられた。
川魚。 逝くと急激に味が落ちるので活きたものを用いる。
口ひげはない。 各地の淡水に分布。 冬が旬。 店先に並ぶのはほとんど養殖もの。 刺身や小型のものはつくだ煮に。
体が平べったく、木の葉状をしている。 両眼は体の左側にあり、俗に「左ビラメの右カレイ」といってカレイと区別されているが、カレイには例外もある。 カレイ科の魚より口が大きく、歯が発達している。 周囲の色に応じてかなり体色が変化する。
日本近海に分布し、砂底上に生息。 秋から早春にかけて美味。 ヒラメ等白身の魚は、とれたて、締めたてだと歯ごたえはあるが味がない。 締めてから一日程度おくと、うまみがでてくる。 一日おくことでたんぱく質からグルタミン酸などのアミノ酸、ATPからイノシン酸が酵素で分解されできる。 魚の保存温度によりうまみ成分が最大に増える時間がきまる。
ヒラメの脂肪は1%。
冬が旨い。 特に産卵前の二月頃のものは極上。 種類ではトラフグが最高級。 毒は肉以外の肝臓、卵巣、胃、腸、皮、目等に含まれており、調理の際毒が身についてしまうと、死に至る。
毒はテトロドトキシンで、加熱しても無毒化されない。
長崎の島原にはガンバ料理というフグ料理が存在する。
アジ科の魚。 身はサバにも似る。
北日本がシャケの文化とするならば、東日本はマグロの文化。 そして西日本はブリの文化といっても過言ではない。 「ブランドブリ」としては伊根ブリとか能登ブリ、越前ブリ、氷見ブリ等がある。 冬に獲れるブリがいわゆる寒ブリというもので、脂の乗りかたがすごい。
ブリは出世魚として知られており、15cm以下をモジャコ、ワカシ、フクラギという。 40cmぐらいをイナダ、メジロ。 60cm前後をワラサと呼ぶ。 また別に15cm〜50cmまでをハマチ。 それ以上をブリと呼ぶなんて分け方もある。 ブリによく似たカンパチがブリ類で一番美味いという説もある。
養殖物は、ハマチの大きさで出荷するため、養殖物の代名詞としてハマチと呼んだりもする。 養殖といっても、孵化から行うのではなく、稚魚を獲ってきてイケスに移し、三年育ててハマチとして出荷する。
函館では2008年と比べ2020年のブリの漁獲量は34倍になっている。
カナガシラと似る。 実際両者ともカナガシラと称す地方もある。 東北ではめでたい席に重宝される。 白身の上品な身は吸い物ダネとしても活用。 浮き袋で音を出す。
竜宮の使者とも呼ばれる。 体中に発光器を持ち、一斉に光る様は名の通り。 学名をワタセニア・シンチルランス。 旬は冬から春。
北海道沖で獲れる。 北海道外海域では見かけない。
成長度合いにより呼び名が異なり、小さい順からアオボッケ、ロウソクボッケ、ハルボッケ、オオボッケという。
戦時中、サメやスケトウダラと共に配給魚だった。
成長が早く、一年で体長25センチほどになる。
オボコ、イナ、ボラ、トドと名の変わる出世魚。
冬になると瞼にある脂肪質が白濁して視力が落ちる。 このボラを目白とよび、脂が乗ったサインとして旨い時期となる。
ボラのヘソ、と呼ばれる部分は胃の幽門部で、そろばん玉型をしており焼いて山椒を振ると美味。
真子はからすみの原料。
マグロの古い呼び方はシビ。 サバ科に属す。 天然マグロは赤身とトロがはっきり分かれているが、養殖はそうでない。 中骨についた身はこそぎとり、中落ちとして利用する。
カジキマグロはマカジキ科、もしくはメカジキ科でマグロの仲間ではない。
上から順に魚体は小さくなる。 このほか「ミニマグロ」と呼ばれる大西洋マグロがアメリカ東海岸から輸入されている。
筋目が広く平行で、キメの細かいもの。
江戸時代から明治中期まではマグロは下魚とされていた。
和名はサッパ。 ママカリは飯借、にちなむ。 イワシ科に属す。 外見はコノシロと似る。
目と口が大きい。 深海に住む。 冬が旬で、卵巣はムツの子として食される。 仙台では旧藩主伊達家が陸奥守であった為遠慮してロクノウオと呼ぶ。
眼張。 文字通りの特徴を持つ。 全長2、30センチ。 ウミタナゴ等と共に数少ない胎生魚のひとつ。
フサカサゴ科の硬骨魚のうち、深海性の赤色種の総称。
体長15〜30センチ程度。 エラの上に黒い斑点が一つあり、くち先は丸く、骨は柔らかく、ウロコがはがれやすい。 幼魚は、クラゲ等に隠れる習性があるが、 成魚になると深い海底にも生息する。 シズ、モチウオ、イボダイ(疣鯛)と呼ばれる。
寒くなるにつれ味がよくなる。 体長12センチほど。 各種あるがホンモロコが美味で、照り焼きや鮨たねに。
キダイ。 バジロ。 バンジロ。
デンブにする時はウロコをかいてワタを抜き、丸ごと鍋に入れて水、酒、醤油、砂糖、塩を入れて煮て、骨と身が離れたら身だけを残して炒り煮する。
旬は冬から春。 釣り上げてすぐ、氷上の上で天ぷらにして食べるのが最上。
元は鮭や鮎と同じ遡河性のある魚だったが、淡水化してしまった。 産地としては、茨木の霞ヶ浦、山中湖、諏訪湖が知られる。
島根宍道湖周辺では身が甘い事から「あまさぎ」とも呼ばれている。
遡河魚。 河で成長すると海へ下るが、中にはそうせず河で成熟するものもあり、それを陸封魚という。 高地の渓流の岩陰に生息。
伊勢海老の名は伊勢湾で多くとれたことから名づけられたもの。 房総半島から長崎までの太平洋岸に産出し、日本海では姿を見ない。
他のエビに比べて甲殻が固く、姿が具足をつけた武士のように立派なので縁起物として用いられ、正月飾りにはなくてはならないものである。 漁期は秋から春にかけてで、夏の産卵期は 禁漁となる。
夜間に捕食のため活動し、貝類やゴカイなどの多毛類、小型の甲殻類などを食べる。
正月にエビを重宝するのはヒゲが伸びて、腰が曲がるまで長生きできるように、という願いから。
食用としてズワイガニ(マツバガニ、エチゼンガニ)、ワタリガニ(ガザミ)、ケガニ、タラバガニ(ヤドカリの仲間)、タカアシガニ、アサヒガニ、ハナサキガニ、サワガニ等がある。
ズワイガニは、福井、石川両県の沖合でよく獲れる事から越前ガニ。 山陰では松葉ガニ。 風味の良いのはオスで、足の肉を食す。 茹で加減にコツが要る。 包丁を入れると味が落ちる。
カニやエビを茹でると赤くなる。 これは殻にアスタキサンチンという物質が含まれているから。 生の時はタンパク質と結びついているから赤い色が現れない。
魚のシメ方で味が違ってくる。 とくに刺身で食べる場合、どんなシメ方をしたか、シメてからどのくらい時間が経過したかが重要な要素になる。
魚は死んでから数十分から数時間で死後硬直がはじまる。 魚の旨味成分のひとつであるイノシン酸は死後硬直がはじまり、 それがとける頃までに生成される。 死後硬直が終わると、魚の鮮度は低下し、イノシン酸も分解されていく。 シメる前に、魚をあばれさせてはいけない。
07/05/07